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2017/02/27 (Mon)

生命物理化学教室の外山侑樹博士研究員、加納花穂大学院生、嶋田一夫教授らが、細胞内シグナル伝達タンパク質の発がん性変異体が、がん化を引き起こす機構を解明

 生命物理化学教室の外山侑樹博士研究員、加納花穂大学院生、嶋田一夫教授らの研究グループは、核磁気共鳴(NMR)法を用いて細胞内シグナル伝達タンパク質であるグアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)の発がん性変異体が、がん化を引き起こす機構を明らかにしました。本研究成果は、2017年2月22日付でNature Communicatiosのオンライン版で公開されました。
 
 
雑誌名:Nature Communications
論文タイトル:Dynamic regulation of guanine nucleotide binding to G proteins revealed by magnetic field-dependent NMR relaxation analyses
著者:Yuki Toyama, Hanaho Kano, Yoko Mase, Mariko Yokogawa, Masanori Osawa, and Ichio Shimada
DOI番号:10.1038/ncomms14523
論文へのリンク:http://www.nature.com/articles/ncomms14523
プレスリリースへのリンク:http://www.amed.go.jp/news/release_20170222-02.html
 
 Gタンパク質は、細胞外からの刺激を細胞内に伝える役割をもつタンパク質です。正常な細胞では受容体タンパク質にリガンドが結合すると、受容体タンパク質がGタンパク質に結合したグアニンヌクレオチドを解離させることで活性化し、細胞増殖などの生理応答を引き起こします。一方で、一部のがん細胞ではGタンパク質に発がん性の変異が生じており、リガンドがないときにも過剰に活性化し続けることで、がん化を引き起こします。これまでに、正常なGタンパク質と発がん性変異体がどのように異なっているのかを明らかにするため、Gタンパク質の立体構造の違いに着目した研究が行われてきました。しかしながら、正常なタンパク質と発がん性変異体のNMRスペクトルにはほとんど違いが観測されておらず、立体構造の違いだけからがん化の機構を説明することは困難でした。
 本研究グループは、この問題を解決するためにタンパク質の静的な立体構造を比較するだけではなく、動的な構造平衡を比較することに着目しました。まず、NMRシグナルの単純な比較だけでは捉えることが困難な構造平衡を、精度よく検出するためのNMR測定法「多量子緩和解析法」を開発しました。この開発手法を用いて、正常なGタンパク質と発がん性変異体の構造平衡の状態を比較しました。その結果、Gタンパク質の発がん性変異体ではβ1ストランドと呼ばれるグアニンヌクレオチド結合部位近傍の構造平衡が顕著に亢進しており、正常なタンパク質よりも活性化した状態へ移行しやすくなることで、がん化が引き起こされることが明らかになりました。
 本成果により、構造平衡の変化に着目した新しい創薬戦略が可能となり、医薬品開発が加速されることが期待されます。

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