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2014/06/30 (Mon)

天然物化学教室の脇本敏幸准教授、江上蓉子特任研究員、阿部郁朗教授らのグループが海綿動物由来細胞毒性物質の生合成遺伝子および生産菌の同定に成功

天然物化学教室の脇本敏幸准教授、江上蓉子特任研究員、阿部郁朗教授らのグループが著した海綿由来細胞毒性物質の生合成に関する論文がNature Chemical Biologyに掲載されました。(2014年6月30日付、オンライン版)
 
(原著論文)Calyculin Biogenesis from a Pyrophosphate Protoxin Produced by a Sponge Symbiont (Nature Chemical Biology)
 
【発表概要】
海綿動物は最も原始的な多細胞動物であり、岩などに付着して濾過した海水から有機物を摂取して生きています。高度な免疫系や物理的防御機構を持たない海綿動物からは、化学防御を担うと考えられる抗菌活性物質や細胞毒性物質が数多く見出されております。その中にはhalichondrin Bなど抗ガン剤のリード化合物として重要な化合物も報告されています。一方で、それら海綿由来生理活性物質の多くは海綿動物自身ではなく、共生微生物が生産していることが長年疑われていました。本研究では、相模湾に生息するチョコガタイシカイメン(Discodermia calyx)から、細胞毒性物質calyculin Aの生合成遺伝子を取得し、その遺伝子配列をもとに生産菌の探索を進めました。その結果、海綿共生バクテリアであるEntotheonella sp.が物質生産を担っている事を明らかにしました。興味深いことに、ホストである海綿動物への毒性を回避するためか、この共生バクテリアはより低毒性な前駆物質を最終産物として生合成していました。さらに、ひとたび海綿組織への傷害が加わると、傷害部位特異的かつ瞬時に前駆物質がcalyculin Aに変換されることが分かりました。海綿動物における巧妙な「Activated Chemical Defense」機構を生合成遺伝子の解析を基に明らかにしました。天然医薬品資源などの物質生産に秀でたこの海綿共生微生物は、現段階では難培養性ですが、異種発現系の開拓や可培養化を通した今後の有効利用が期待できます。また、海綿動物からはcalyculin A以外にも数多くの抗がん剤リード化合物が見出されています。それらの生産菌の特定や活性制御機構を解析する上で、本研究成果は重要な方法論を提示しています。

プレスリリースはこちら
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_260630_02_j.html

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