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2017/11/22 (Wed)

分子薬物動態学教室の林久允助教らが、こどもの肝臓難病の早期診断・治療を可能にする新たな診断法を開発

東京大学大学院薬学系研究科の林久允助教、直井壯太朗元大学院生を中心とした研究グループは、血液中の細胞成分の機能、特性を利用し、こどもの肝臓難病である進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型(Progressive Familial Intrahepatic Cholestasis type 1; PFIC1)を診断できる可能性を見出しました。本研究成果は、2017年10月7日付で、EBioMedicineに掲載されました。
 
(原著論文)
Hayashi H, Naoi S, Togawa T, Hirose Y, Kondou H, Hasegawa Y, Abukawa D, Sasaki M, Muroya K, Watanabe S, Nakano S, Minowa K, Inui A, Fukuda A, Kasahara M, Nagasaka H, Bessho K, Suzuki M, Kusuhara H. “Assessment of ATP8B1 Deficiency in Pediatric Patients With Cholestasis Using Peripheral Blood Monocyte-Derived Macrophages”,  EBioMedicine. doi: 10.1016/j.ebiom.2017.10.007.
 
患者数が少ないまれな疾患(希少疾患)の1つに、こどもの肝臓に関する病気で、無治療の場合、乳幼児期に死に至る難病があります。この難病は、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型(PFIC1)と呼ばれるATP8B1の遺伝子変異により発症する疾患です。現在、本疾患の確定診断には、臨床所見、遺伝子検査が利用されていますが、病因変異の同定に難渋し、類似疾患との鑑別に至らない症例が散見されています。林助教らは、PFIC1の原因遺伝子であるATP8B1が末梢血単球由来のマクロファージに発現しており、本遺伝子の機能破綻により、マクロファージマーカーの発現が低下すること、細胞形態が異常を来たすことを見出しました。さらに、本細胞の特性の差異から、現在の診断法では確定診断に至らなかった肝臓病の患児から、複数のPFIC1症例を見出すことに成功しました。PFIC1には治療指針が異なる複数の類似疾患が存在します。本研究成果により、PFIC1の確定診断、適切な治療選択が発症早期に可能となり、患児及び、ご家族の救済に繋がるものと期待されます。
本研究グループは、尿素サイクル異常症の治療薬であるブフェニールが、PFIC1患児が呈する胆汁うっ滞性の難治性掻痒感に著効し、当該患児の睡眠障害を解消する可能性を見出しており、本薬効の薬事承認取得を目的とした医師主導治験を計画しています。今回開発した診断法に基づいて集積させた疾患情報をベースに試験プロトコルを立案し、次年度以降の治験開始を予定しています。
お子さんの原因不明の長引く黄疸でお悩みの方、乳児の遷延する原因不明の黄疸を診た先生方、本治験の参加にご興味をお持ちの方は、確定診断のお手伝いなどをいたしますのでご連絡ください。
 


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