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2015/11/10 (Tue)

天然物化学教室の松田侑大助教、阿部郁朗教授らが、カビの持つユニークな酵素の発見と合理的な機能改変に成功

 東京大学大学院薬学系研究科の松田侑大助教と阿部郁朗教授らは、テルペノイドと総称される化合物群の合成に関わる新しい酵素を見出し、その機能を解明するとともに、本酵素の一部を改変することで新たな機能を付与できることを発見しました。本研究成果は2015年11月6日付でAngewandte Chemie International Edition (オンライン版)に掲載されました。
 
原著論文:An Unusual Chimeric Diterpene Synthase from Emericella variecolor and Its Functional Conversion to a Sesterterpene Synthase by Domain Swapping  (Angewandte Chemie International Edition) doi: 10.1002/anie.201509263R1
 
論文はこちら: http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/anie.201509263/full
 
 テルペノイドは炭素5個からなるイソプレンを構成単位とし、抗がん剤パクリタキセルや抗マラリア薬アルテミシニンなど種々の薬学的に重要な化合物にも含まれます。テルペノイドは、植物、微生物、動物の生体内で主にテルペン合成酵素よって生合成されます。
 今回、研究グループは糸状菌から新規テルペン合成酵素を発見し、この酵素が新規骨格を有するジテルペン(炭素20個からなるテルペン)を合成することを解明しました。本酵素は、炭素5個からなる基本単位を連結し炭素20個からなる直鎖状物質(GGPP)を合成する部位(PTドメイン)と、この直鎖状物質を環化して最終産物を合成する部位を併せ持つ点で特徴的です。同様の多機能酵素はすでに複数知られているものの、多機能酵素を人為的に改変して新たな物質を生み出す試みはなされてきませんでした。興味深いことに、これら酵素の中には炭素25個からなる直鎖状物質(GFPP)を作るPTドメインを持つものもあり、PTドメインを組み替えることで新規化合物が得られる可能性がありました。そこで、先のテルペン合成酵素のPTドメインをGFPP合成酵素と置き換えたところ、炭素25個からなる新たな環状化合物の合成に成功しました。
 本手法は単純かつ他の酵素にも適用可能であると考えられ、未知の構造を有する化合物の生産、ひいては新規医薬品開発の種の発見に繋がるものと期待されます。
 
UTokyo Researchへのリンクはこちら

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