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2018/01/10 (Wed)

天然物化学教室の中嶋優大学院生、阿部郁朗教授らが、タンパク質結晶構造に基づく酵素の機能改変によって、多段階反応を触媒する新規酸化酵素の創出に成功

東京大学薬学系研究科の阿部郁朗教授と中嶋優大学院生らの研究グループは、メロテルペノイドの複雑骨格形成を触媒する酸化酵素に着目し、その結晶構造解析に基づく酵素改変実験を行うことで、多段階反応を触媒する新規酸化酵素の創出に成功しました。本研究成果は2018年1月9日付でNature communications (オンライン版)に掲載されました。
 
原著論文: Structure function and engineering of multifunctional non-heme iron dependent oxygenases in fungal meroterpenoid biosynthesis (Nature Communication)
doi: 10.1038/s41467-017-02371-w
論文はこちら: https://www.nature.com/articles/s41467-017-02371-w
プレスリリースはこちら:
https://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Release/pressrelease20180109.pdf
 
α-ケトグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼ酵素ファミリーは、糸状菌メロテルペノイドの複雑骨格の形成に関わる鍵酵素です。その中には、多段階の酸化ステップを触媒するものがいくつも存在し、その反応メカニズムに興味が持たれていました。同酵素ファミリーのAusE、 PrhAは、78%の高い相同性を持ち、preasutinoid A1を共通の基質として受け入れるものの、異なる多段階酸化反応を触媒し、それぞれ異なる骨格の生成物を与えることが知られていました。これらのX線結晶構造解析が行われ、両酵素共に2.1Åの分解能で構造決定が行われました。続いて、基質結合部位周辺に、二酵素間で異なる3つのアミノ酸残基を見出し、これらを入れ替えた変異体を作成し、AusE、PrhA両酵素触媒能の相互変換に成功しました。それに加えて、PrhA変異体は野生型反応から、さらに2-3回酸化反応が進んだ新規メロテルペノイド化合物を与えることが判明しました。本研究結果は、立体構造に基づく合理的な部位特異的変異導入によって、基質特異性を改変し、酸化酵素の触媒能を拡大することに成功した極めて希有な例であり、天然物の複雑骨格を構築する酸化反応リデザインのために重要な知見を与えました。当該研究によりもたらされた知見を基に、新たな有用メロテルペノイド化合物が創出され、創薬研究へと貢献することが期待されます。
 


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