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2018/01/21 (Sun)

生命物理化学教室の白石勇太郎博士研究員、嶋田一夫教授らが、医薬品の副作用を引き起こす受容体分子の構造変化を解明

生命物理化学教室の白石勇太郎研究員、嶋田一夫教授らの研究グループは、核磁気共鳴(NMR)法を用いて副作用のシグナルを流す状態に対応するGPCRが、膜貫通領域やリン酸化されたC末端領域が特徴的な構造を取ることを解明しました。本研究成果は、2018年1月15日付でNature Communicatiosのオンライン版で公開されました。
 
雑誌名:Nature Communications
論文タイトル:Phosphorylation-induced conformation of β2-adrenoceptor related to arrestin recruitment revealed by NMR
著者:Yutaro Shiraishi, Mei Natsume, Yutaka Kofuku, Shunsuke Imai, Kunio Nakata, Toshimi Mizukoshi, Takumi Ueda, Hideo Iwaï, Ichio Shimada*
DOI番号:10.1038/s41467-017-02632-8
論文はこちら:https://www.nature.com/articles/s41467-017-02632-8
プレスリリースはこちら:https://www.amed.go.jp/news/release_20180115.html
 
 
GPCRは、市販される医薬品の標的分子の30%を占める、創薬標的として極めて重要な膜タンパク質ファミリーです。GPCRを標的とする医薬品は、GPCRを介して、細胞内のGタンパク質を活性化する経路と、GPCRキナーゼによる自身のリン酸化を経てアレスチンを活性化する経路の、2つのシグナル経路を制御して薬理作用を発揮します。2つのシグナル経路の一方が医薬品の治療効果を、もう一方が副作用を誘起することが報告されており、副作用のシグナル伝達のみを阻害することで副作用を軽減する医薬品の開発が試みられています。このような医薬品を合理的に設計するためには、GPCRが副作用を起こす際に特徴的な構造を調べることが必要です。しかし、これまで治療効果を発揮する状態と副作用を発現する状態におけるGPCRの構造の違いは見出されていませんでした。
本研究グループは、代表的なGPCRであるβ2アドレナリン受容体 (以下β2AR) を解析対象として、核磁気共鳴 (NMR) を用いて、副作用発現の第一段階に対応するC末端領域のリン酸化を受けた状態、およびアレスチンが結合した状態における構造を解析しました。その結果、従来は特定の構造をとらないと考えられていたC末端領域が、リン酸化に伴ってβ2ARの膜貫通領域の細胞内側と相互作用することが明らかとなりました。加えて、上記の相互作用を経てβ2ARの膜貫通領域の構造が変化することが分かりました。さらに、この構造が、アレスチンが結合した状態の構造と類似していることが判明しました。
本研究により、副作用の発現に必要な構造の形成を阻害する薬剤の設計が可能になり、副作用を軽減した医薬品の開発が加速することが期待されます。
 


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