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2015/02/14 (Sat)

李尚憲大学院生、田口友彦准教授、新井洋由教授らが、脂質二重膜におけるリン脂質(ホスファチジルセリン)の非対称性分布の意義を解明

 衛生化学教室の李尚憲大学院生、新井洋由教授、疾患細胞生物学教室の田口友彦准教授らは、ホスファチジルセリンをフリップする酵素 ATP8A1がエンドソームと呼ばれる細胞小器官を通過する物質輸送に必須であることを示し、"ATP8A1→ホスファチジルセリン →EHD1(膜切断タンパク質)"という物質輸送に至る一連の流れを明らかにしました。本研究成果は、2015年1月16日付けで"EMBO Journal"に掲載されました。

原著論文:Transport through recycling endosomes requires EHD1 recruitment by a phosphatidylserine translocase (EMBO Journal)
DOI: 10.15252/embj.201489703

 ヒトを含む真核生物の細胞の膜は、脂質層が二層に重なった脂質二重膜から構成されています。脂質二重膜を構成する脂質の種類は、膜の表側(細胞外側)と裏側(細胞内側)とで全く異なっていることが知られており、例えば、脂質の1種であるホスファチジルセリンは細胞膜の内側の層にのみ存在する一方、ホスファチジルコリンは細胞膜の外側の層に多く存在します。このような脂質分布の非対称性は、フリッパーゼという一連のタンパク質が作り出していることが示唆されており、近年、このフリッパーゼ遺伝子の変異が、肝臓や脳の遺伝性疾患の原因になることが報告されてきております。しかしながら、フリッパーゼが作る脂質の非対称な分布がどのようにして生体の維持や疾患に関わるか、その分子機構は不明なままです。
 同研究グループは、細胞内小器官の1つエンドソームにおけるホスファチジルセリンの非対称な分布が、フリッパーゼの1種ATP8A1により制御されていることを示しました。そして、この非対称な分布が、膜輸送制御タンパク質であるEHD1をエンドソーム上に呼び寄せることで、エンドソームから細胞膜への物質輸送を制御することを明らかにしました。さらに、フリッパーゼの1つであるATP8A2の遺伝子変異による神経疾患が、エンドソームを介した物質輸送の破綻に起因していることを示唆しました。
 本研究は、脂質二重膜における脂質の非対称的分布が生体の維持に関わるメカニズムを分子レベルで示すとともに、フリッパーゼの変異による種々の遺伝性疾患の発症機構を解明するための大きな一歩になるものです。

 
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