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2014/08/25 (Mon)

劉霆大学院生、山口良文助教、三浦正幸教授らが、炎症性細胞死とサイトカイン分泌との関連を解明

遺伝学教室の劉 霆(りゅうてぃん)大学院生、山口良文助教、三浦正幸教授らは、感染や傷害時に生じる炎症性細胞死(パイロトーシス)の様子を可視化することに成功し、大量の炎症性サイトカイン分泌がデジタル(全か無)様式で制御されることを明らかにしました。本研究成果は、2014年8月7日付けで「Cell Reports」に掲載されました。
 
(原著論文):Single-Cell Imaging of Caspase-1 Dynamics Reveals an All-or-None Inflammasome Signaling Response
(リンク先>http://www.cell.com/cell-reports/abstract/S2211-1247(14)00579-8
 
本研究は、理化学研究所統合生命医科学研究センターらとの共同研究として行なわれました。
 
【発表概要】 
 感染や組織傷害時には、炎症応答をはじめとする免疫応答が起こります。その一つに、インフラマソームと呼ばれるタンパク質複合体によってカスパーゼ-1という酵素が活性化され、最終的に炎症性サイトカインの分泌や、パイロトーシスと呼ばれる炎症性細胞死が生じる経路が近年注目されています。しかしながら、炎症性サイトカイン分泌を行なう細胞とパイロトーシスする細胞とが同じなのか、異なるのかについてはよく分かっていませんでした。
 そこで研究グループは、インフラマソーム−カスパーゼ-1経路が、ひとつひとつの細胞内でどのように活性化されるのか、カスパーゼ-1の活性化をリアルタイムで可視化することで判定できる蛍光タンパク質プローブを開発しました。このプローブを用い、マクロファージにおいてカスパーゼ-1が活性化される様子を捉えたところ、カスパーゼ-1の活性化は刺激の種類に関わらずデジタル(全か無)な様式で生じることがわかりました。また、刺激の強さを変えると、カスパーゼ1を活性化する細胞数に変化が生じることもわかりました。さらに、カスパーゼ1を活性化した細胞は、その後非常に短い時間(1−2分程度)で細胞死し、その直後に炎症性サイトカインIL1bの大量放出が生じる様子が観察されました。カスパーゼ1の活性が阻害された条件でも細胞死は生じましたが、不思議なことに炎症性サイトカインIL1 bの大量放出は観察されませんでした。これらの結果は、個々の細胞内で、炎症性サイトカインIL1 bの大量放出と細胞死とを結びつける役割をカスパーゼ1が担っていることを示しています。
 本研究では、インフラマソームを介したカスパーゼ1の活性化の様子をひとつひとつの細胞で可視化することに成功しました。インフラマソームによる炎症性サイトカイン分泌制御の破綻は、自己炎症性疾患やがん、糖尿病といった慢性炎症が関与する疾患の病態に関わることが知られています。こうした疾患におけるインフラマソーム-カスパーゼ1の活性化動態や、炎症性細胞死した細胞の周辺組織への影響を、今回開発したプローブを用いて調べていくことで、病態発症機構の理解や抑止法の開発につながるのではないかと期待されます。

詳細はこちら(大学プレスリリースへのリンク)

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