ニュース|東京大学大学院薬学系研究科・薬学部

東京大学大学院薬学系研究科・薬学部
  • アクセス・お問合わせ
  • サイトマップ
  • ENGLISH
  • 東京大学
東京大学大学院薬学系研究科・薬学部

ニュース

2015/02/12 (Thu)

清水敏之教授、大戸梅治講師らが、自然免疫応答を引き起こすタンパク質が微生物の侵入を感知する仕組みを解明

東京大学大学院薬学系研究科の清水敏之教授、大戸梅治講師、同医科学研究所の三宅健介教授、柴田琢磨助教、大阪大学大学院工学研究科の内山進准教授、エレナ クラユヒナ特任研究員らの研究グループは、微生物の侵入を感知して自然免疫応答を活性化するTLR9受容体の詳細な立体構造を世界で初めて明らかにしました。

原著論文:Structural basis of CpG and inhibitory DNA recognition by Toll-like receptor 9 (Nature)

DOI: 10.1038/nature14138

細菌やウイルスなどの病原体への感染を防ぐ仕組みとして、私たちの体には自然免疫機構が備わっており、Toll様(TLR)受容体と呼ばれるタンパク質が主要な役割を担っています。TLRは、病原体のもつ分子によって活性化され、二量体を形成することでその役割を果たすことが知られています。今回立体構造を明らかにしたTLR受容体の一種TLR9は、微生物由来のDNA配列(CpGモチーフ、注1)を感知することで、インターフェロン(注2)などの産生を促します。TLR9は、抗ウイルス薬やアレルギー薬などの創薬の標的として注目されていましたが、具体的にどのようにDNAを認識するのかは不明でした。
研究グループは、微生物由来のDNA配列が結合していないTLR9、微生物由来のDNA配列が結合しているTLR9、TLR9の機能を阻害するDNA配列が結合しているTLR9の3種の立体構造を明らかにしました。その結果、TLR9と微生物由来のDNA配列は2 対 2の比率で結合して2量体の活性化型を形成することが分かりました(図1上)。このDNA配列はTLR9のN末端側にある溝に結合することによって認識されていることが分かりました。一方で、TLR9とTLR9の機能を阻害するDNA配列は1 対 1の比率で結合し、2量体になることはありませんでした。また、このDNA配列はTLR9の馬蹄型構造の内側にコンパクトなループのような形で結合していました(図1下)。
これらの知見は、抗ウイルス薬、アレルギー薬、ワクチンなどの治療薬の設計につながるものと期待されます。

(注1)CpGモチーフ

DNA中に存在するシトシンとグアニンがホスホジエステル結合でつながったDNA配列。哺乳類ではメチル化されることが多いのに対して、細菌やウイルスではメチル化されていない(非メチル化)ことが知られている。非メチル化CpGモチーフはTLR9を強く活性化してさまざまな免疫応答を引き起こす。
(注2)インターフェロン
細菌やウイルスなどの病原体の侵入に対して免疫系の細胞が分泌するタンパク質で、ウイルスの増殖を抑制する作用や免疫系を活性化するなどの作用を発揮する。

図1:TLR9の結合様式 (上図)CpGモチーフを有するDNA配列とTLR9との結合様式。 (下図)アンタゴニストDNA配列とTLR9との結合様式。 2量体を形成するTLR9分子の一方を緑色で、他方を青色で示している。CpG モチーフは伸びた構造で、TLR9の2量体に2ヶ所で結合している(2 対2複合体)。アンタゴニストDNAはTLR9の馬蹄型構造の内側にループ構造を作り結合している(1 対1複合体)。 
前の記事へ 次の記事へ

2015/02/14 (Sat) 李尚憲大学院生、田口友彦准教授、新井洋由教授らが、脂質二重膜におけるリン脂質(ホスファチジルセリン)の非対称性分布の意義を解明
2015/02/12 (Thu) 清水敏之教授、大戸梅治講師らが、自然免疫応答を引き起こすタンパク質が微生物の侵入を感知する仕組みを解明
2015/01/22 (Thu) 清水敏之教授、丹治裕美大学院生、大戸梅治講師らがToll様受容体8はRNAの分解物を認識することを発見
2014/12/15 (Mon) 有機反応化学教室の倉永健史助教、井上将行教授らが、新規抗生物質ライソシンEの全合成に成功
2014/12/11 (Thu) 微生物薬品化学教室の浜本洋助教、関水和久教授らが、新規抗生物質ライソシンの発見と作用機序の解明に成功
2014/12/02 (Tue) 松木則夫名誉教授が平成27年度日本薬学会賞を受賞
2014/12/02 (Tue) 有機反応化学教室・占部大介講師、薬品作用学教室・小山隆太助教、有機合成化学教室・相馬洋平ERATOグループリーダーが、平成27年度日本薬学会奨励賞を受賞
2014/10/15 (Wed) 佐久間知佐子特任研究員、千原崇裕准教授らが、神経細胞の形づくりを調節する分子としてStripタンパク質を同定
2014/09/16 (Tue) 小山隆太助教が日本神経科学学会奨励賞を受賞
2014/09/10 (Wed) 齋藤康太助教、堅田利明教授らのグループが、巨大分子であるコラーゲンの分泌について新たなメカニズムを解明
PAGE / 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

PAGE TOP