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2014/07/30 (Wed)

分子薬物動態学教室の林久允助教、直井壯太朗大学院生、楠原洋之教授らが、こどもの肝臓病に有効な薬剤を発見

本研究成果は、2014年2月14日付で、「Journal of Pediatrics」、2014年7月15日付で、「Orphanet Journal of Rare Diseases」に掲載されました。
 
(原著論文)
Improved liver function and relieved pruritus after 4-phenylbutyrate therapy in a patient with progressive familial intrahepatic cholestasis type 2 (Journal of Pediatrics) http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022347613015783
 
Intractable itch relieved by 4-phenylbutyrate therapy in patients with progressive familial intrahepatic cholestasis type 1 (Orphanet Journal of Rare Diseases) http://www.ojrd.com/content/9/1/89
 
患者数が少ないまれな疾患(希少疾患)の1つに、こどもの肝臓に関する病気で、成人前に肝不全となり、死に至る難病があります。この難病は、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症と呼ばれる遺伝子の変異が原因となる疾患で、原因遺伝子の違いにより、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型、2型、3型に大別されます。1型、2型の患者は、肝臓の機能の低下に伴う強いかゆみのために、物事に集中できない、夜間深い睡眠をとることができない等、日常生活において悩みを抱えています。1型、2型における肝臓の機能の低下は、肝細胞に存在するBile Salt Export Pump(BSEP)というタンパク質の機能の破綻に原因があることが示されています。しかしながら、両疾患に対して有効な内科的療法は未だ確立していません。
以上の背景から、林助教は、1型、2型の治療薬となる化合物の探索に取り組み、尿素サイクル異常症の治療薬であるフェニルブチレートが、BSEPの機能を増強させる薬理作用を示すことを基礎研究から独自に見出していました。今回、林久允助教、直井壯太朗大学院生、楠原洋之教授らの研究グループは、大阪大学医学部附属病院、獨協医科大学越谷病院、済生会横浜市東部病院に通院している1型、2型のこどもたちを対象とした臨床研究を実施し、両疾患に対するフェニルブチレートの有効性、安全性を検証しました。その結果、1型のこどもでは、本薬剤の服用により、かゆみが著明に改善することが明らかになりました。かゆみが原因でできていたひっかき傷は消失し、きれいな皮膚が再生してくることも確認できました。また、夜間に熟睡することができるようになり、こどもだけではなく、家族の生活の質も向上することがわかりました。一方、2型のこどもでは、かゆみに加え、肝臓の機能も改善することが、生化学検査、病理組織学検査から確認できました。
本研究成果は、これまで肝移植以外に治療法がなかった進行性家族性肝内胆汁うっ滞症2型、現状では有効な治療法が存在しないこどもの肝臓の病気を原因としたかゆみの薬剤による治療の可能性を示すものです。今後、薬事法上の承認を得るための臨床研究(治験)を経て、今回発見したフェニルブチレートの効能が追加承認されれば、本薬剤による治療法が広く普及するものと期待されます。
本研究グループは現在、治験を開始する準備を進めています。本治験の参加にご興味をお持ちの方は、遺伝子変異検査などによる確定診断も併せて実施いたしますので、ご連絡ください。
 
(UTokyo Researchへのリンク)
http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/utokyo-research/research-news/shedding-light-on-medical-therapy-for-an-intractable-liver-disease/
 
http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/utokyo-research/research-news/therapy-for-intractable-itching-due-to-pediatric-liver-disease/

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