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2019/03/14

生命物理化学教室の外山侑樹博士研究員と嶋田一夫教授らが、Rac1発がん性タンパク質の恒常活性化メカニズムを解明


生命物理化学教室の外山侑樹博士研究員と嶋田一夫教授らの研究グループは、核磁気共鳴(NMR)法を用いて、細胞内シグナル伝達タンパク質Rac1(Ras-related C3 botulinum toxin substrate 1)の発がん性変異体において生じる恒常活性化の分子機構を明らかにしました。本研究成果は、2019年3月13日付でScience Advancesのオンライン版で公開されました。
 
発表論文
雑誌名:「Science Advances」
論文タイトル:Conformational landscape alternations promote oncogenic activities of Ras-related C3 botulinum toxin substrate 1 as revealed by NMR
著者:Yuki Toyama, Kenji Kontani, Toshiaki Katada, and Ichio Shimada
DOI番号:10.1126/sciadv.aav8945
論文へのリンク:http://advances.sciencemag.org/content/5/3/eaav8945
プレスリリースへのリンク:https://www.amed.go.jp/news/seika/kenkyu/20190314.html
 
発表概要
 細胞増殖や細胞骨格の形成を担うRac1 (Ras-related C3 botulinum toxin substrate 1) は、種々のがん細胞で変異が見出される強力ながん遺伝子であり、抗がん剤の有効な標的分子です。しかしながら、発がん性変異体においてなぜ恒常活性化が生じるのか、詳細な分子機構は明らかとなっていませんでした。また、Rac1の分子表面には薬剤が結合しうるポケットが存在しないことが知られており、薬剤の設計が困難な創薬標的であると考えられています。これらの問題のために、Rac1は有効な抗がん剤の標的タンパク質でありながらも、それを標的とする抗がん剤の開発は極めて困難でした。
 生命物理化学教室の外山侑樹博士研究員と嶋田一夫教授らの研究グループは、生理的条件下におけるタンパク質の動的構造を解析可能な核磁気共鳴(NMR)法を活用し、Rac1の正常タンパク質と発がん性タンパク質を詳細に比較しました。その結果、Rac1にはマイクロ秒の時定数で遷移する構造多型が存在すること、そしてこの構造多型は、ヌクレオチドとマグネシウム結合部位が閉じた「閉構造」と、ヌクレオチドならびにマグネシウムイオンの解離が促進することで活性化状態に移行しやすい「開構造」との2種類の構造で説明可能であることを示しました。そして、発がん性変異体では開構造を形成する割合が大きく増大していることが示され、このことによって恒常的な活性化が生じていることを明らかにしました。さらに、タンパク質への部位特異的なラジカル修飾反応と、それに伴って生じるNMRシグナルの減弱を利用した原子間距離測定を多数行うことで、開構造のモデル構造を構築することに成功しました。得られたモデル構造には、既知の結晶構造には見出されない隠れた薬剤結合部位が存在することを明らかにしました。
 以上の結果は、Rac1に内在する構造多型がその機能と密接に関連していること、そして構造多型の変化が、細胞のがん化を引き起こす分子機構であることを示しています。また本研究で新たに見出された薬剤結合部位に適合する化合物を設計することにより、Rac1を標的とする抗がん剤の開発が可能になることが期待されます。
 

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