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2018/03/18

有機合成化学教室と機能病態学教室が共同で脳内のアミロイドβ量を減少させる光触媒を開発


有機合成化学教室の金井求教授、相馬洋平ERATOグループリーダー(講師相当)、機能病態学教室の富田泰輔教授らの研究グループは、近赤外光の照射によりマウス脳内のアミロイドβペプチド(Aβ)の凝集体を減少させる光触媒を開発しました。本研究成果は、2018年3月15日付で「Chem」に公開されました。
 
雑誌名:Chem
論文タイトル:Near-infrared photoactivatable oxygenation catalysts of amyloid peptide
著者:Jizhi Ni, Atsuhiko Taniguchi, Shuta Ozawa, Yukiko Hori, Yoichiro Kuninobu, Takashi Saito, Takaomi C. Saido, Taisuke Tomita, Youhei Sohma and Motomu Kanai
論文へのリンク: 
http://www.cell.com/chem/fulltext/S2451-9294(18)30069-X
プレスリリースはこちら: 
http://www.jst.go.jp/pr/info/info1306/
 
Aβの凝集体が神経細胞を傷つけることがアルツハイマー病発症につながると考えられています。そのため本研究グループは、生体内で触媒反応を引き起こしてAβの凝集体の形成を阻害することによるアルツハイマー病の治療法の確立に挑戦しています。これまでに開発した触媒は、Aβに対する酸素原子の導入(酸素化)による凝集の阻害や細胞傷害性の低減に成功しています。また近年は副作用を低減する目的で、Aβ以外の生体分子には作用せず、細胞傷害性を持つAβ凝集体だけに作用する触媒も開発しています。しかし、これらの触媒をAβと反応させるには、人体に影響のある短波長の光が必要で、光による細胞傷害性の高さや、生体組織への透過性の低さが課題でした。
光触媒自体を医薬として応用するには、より生体との適合性の高い光で働くことのできる触媒が必要であると考え、生体組織への透過性が高い近赤外光の照射により活性化する光触媒を開発しました。マウスの皮膚を透過した近赤外光は光触媒を活性化し、皮下に存在するAβ凝集体を酸素化し、凝集を抑えました。さらに、アルツハイマー病モデルマウスの脳内に触媒を投与し、近赤外光を照射したところ、脳内のΑβ凝集体の量が約半分と顕著に減少することも明らかとなりました
今後、触媒によるAβの酸素化により、アルツハイマー病の症状を改善するかどうか検証を重ねることで、触媒反応を用いた新しいアルツハイマー病治療法の確立につながると期待されます。
 

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