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2018/03/29

小幡史明助教、津田(櫻井)香代子特任研究員、三浦正幸教授らが、食物栄養由来のアミノ酸代謝物SAMが腸組織の恒常性に寄与することを発見


 遺伝学教室の小幡史明助教、津田(櫻井)香代子特任研究員、三浦正幸教授らは、メチオニンの一次代謝産物であるS-アデノシルメチオニン(SAM)が腸組織の恒常性維持に働くことを、ショウジョウバエを用いて明らかにしました。本研究成果は2018年3月26日付けの米科学誌「Developmental Cell」に掲載されました。
 
原著論文:
Fumiaki Obata, Kayoko Tsuda-Sakurai, Takahiro Yamazaki, Ryo Nishio, Kei Nishimura, Masaki Kimura, Masabumi Funakoshi, and Masayuki Miura.
“Nutritional control of stem cell division through S-adenosylmethionine in Drosophila intestine.”
Developmental Cell, Volume 44, Issue 6, March 26, 2018
doi: 10.1016/j.devcel.2018.02.017
http://www.cell.com/developmental-cell/fulltext/S1534-5807(18)30149-7
【掲載号の表紙を飾りました】
http://www.cell.com/developmental-cell/issue?pii=S1534-5807(17)X0007-5
 
【発表概要】
 食物由来の栄養とその代謝産物は、生体組織の恒常性を保ち、健康を維持する上で欠かせないものです。組織の恒常性は組織幹細胞の増殖と分化によって保たれています。しかし、栄養がどのように組織幹細胞の活性に関わっているかについては理解が進んでいませんでした。
 研究グループは、ショウジョウバエをモデルとして、S-アデノシルメチオニン(SAM)が、腸幹細胞の分裂に必要であることを発見しました。SAMは、摂取栄養分に含まれるメチオニンの一次代謝産物であり、細胞内において様々な標的分子のメチル化に使われることで、標的分子の機能を制御することが知られています。本研究において、SAMによるタンパク質翻訳因子のメチル化が、腸幹細胞の翻訳調節を介して分裂を制御していることが示されました。これとは対照的に、分裂を起こさない栄養吸収細胞である腸上皮においてSAMが欠乏した場合は、サイトカインの一種であるUpd3の産生が誘導されることが分かりました。このUpd3は、飢餓状態からの再摂食時に起きる腸幹細胞の分裂活性化に必要であることも分かりました。
 今回の研究により、腸組織ではSAMが指令分子となって、異なる細胞で異なる機能を発揮することで、組織の恒常性を維持していることが明らかになりました。本研究により、組織の生理機能や病態機構を探る上で、細胞種ごとのアミノ酸代謝解析の重要性が浮かび上がって来ました。
 
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