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2018/07/25

有機反応化学教室の早田敦博士、伊藤寛晃助教、井上将行教授が、巨大複雑天然物ポリセオナミドBの新しい細胞死誘導メカニズムを解明


有機反応化学教室の早田敦博士、伊藤寛晃助教、井上将行教授は、巨大複雑構造ペプチドであるポリセオナミドBの固相全合成法の確立と応用により、本分子による細胞死誘導機構を初めて明らかにしました。本研究成果は、2018年7月24日付けでJournal of the American Chemical Society電子版に掲載されました。

発表論文
掲載雑誌名: Journal of the American Chemical Society
論文タイトル: Solid-Phase Total Synthesis and Dual Mechanism of Action of the Channel-Forming 48-mer Peptide Polytheonamide B
著者: Atsushi Hayata, Hiroaki Itoh, Masayuki Inoue*
DOI: 10.1021/jacs.8b06755
論文へのリンクはこちら:
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jacs.8b06755

発表概要:
ポリセオナミドBは海綿共生生物が生産する巨大ペプチド天然物です。通常のペプチドと比べて非常に複雑な構造を持つ本化合物は、β-ヘリックスという特殊なナノチューブを形成し、脂質二重膜中でイオンチャネルとして機能します。また、本化合物はがん細胞に対して極めて強力な毒性を示すことから、抗がん薬シーズとしても期待されています。しかしながら、入手性の乏しさからポリセオナミドBの細胞に対する作用の詳細はこれまで全く分かっていませんでした。今回、本研究グループは、ポリマー上でアミノ酸を連結する固相合成を駆使し、非常に複雑な構造を持つポリセオナミドBの全体構造をポリマー上で構築する固相全合成法を新たに確立しました。また、合成分子の細胞内挙動解析により、本化合物はこれまで予想されていた細胞膜への挿入に加え、エンドサイトーシス経由でリソソームに集積することが初めて分かりました。さらに、本化合物は細胞膜でのイオンチャネル形成によりイオン濃度の勾配を乱す上、リソソーム膜でのイオンチャネル形成によりリソソーム-細胞質間のpH勾配を消失させる効果を示し、これらの複合的な効果により細胞死を誘導することを初めて明らかにしました。このような作用を示す化合物はこれまで知られておらず、ポリセオナミドBが初めての例となります。
本研究成果は、巨大複雑天然物の創薬応用への新たな可能性を示すものであり、今後ポリセオナミドBの特異な構造と機能を利用した抗がん薬シーズ開発が期待されます。
 

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