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2019/09/24

遺伝学教室の篠田夏樹特任助教、花輪望未大学院生、三浦正幸教授らが、細胞死を実行する因子として知られるカスパーゼが、非細胞死性に器官の成長を促進し、器官サイズの安定性に寄与することを発見


遺伝学教室の篠田夏樹特任助教、花輪望未大学院生、三浦正幸教授らは、ショウジョウバエの翅(はね)をモデル器官として用いた遺伝学的解析から、細胞死を実行する因子として知られるカスパーゼが細胞死実行とは別の機能(非細胞死性の機能)によって器官の成長を促進し、器官サイズの安定性に寄与することを明らかにしました。本研究成果は2019年9月24日付でProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of Americaに掲載されました。
 
発表論文
雑誌:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
題目:Dronc-independent basal executioner caspase activity sustains Drosophila imaginal tissue growth
著者:Natsuki Shinoda, Nozomi Hanawa, Takahiro Chihara, Akiko Koto, and Masayuki Miura
DOI番号:doi.org/10.1073/pnas.1904647116
論文へのリンク:https://www.pnas.org/content/early/2019/09/19/1904647116
 
発表概要
 カスパーゼは、アポトーシスによる細胞死を実行する蛋白質分解酵素として有名ですが、近年の研究から、細胞死実行とは別の機能(非細胞死性の機能)として多彩な生理現象に関係していることが明らかとなってきています。しかしながら、細胞を殺すことなく生理機能の発揮を可能とする分子基盤は不明な点が多く残されていました。研究グループは、ショウジョウバエをモデル生物として用いた遺伝学的解析により、カスパーゼが非細胞死性に器官の成長を促進し、左右相称性によって評価される器官サイズの安定性に寄与することを明らかにしました。その分子基盤として、同じアミノ酸配列を特異的に切断するカスパーゼファミリー蛋白質であるDrice, Dcp-1, Decayのうち、Driceは細胞死の実行に重要であるものの器官成長を促さない一方で、Dcp-1とDecayが非細胞死性に器官成長を促進することを見出しました。この結果は、カスパーゼファミリー蛋白質群の生理機能に応じた使い分け機構の存在を明らかにするものです。さらに、健常な細胞にも基礎的なカスパーゼの蛋白質分解活性が存在し、切断によるAcinus蛋白質の代謝が器官成長を促す一因であることを発見しました。器官サイズの制御は器官再生にも重要であり、また、カスパーゼの非細胞死性の活性化は、細胞浸潤や神経機能とも深く関係していることから、本研究成果はがんや神経変性、再生医学の基礎的な理解にも繋がることが期待されます。
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