メニュー

EN

トピックス

2021/01/13

蛋白構造生物学教室の石田英子 特任研究員、大戸梅治 准教授、清水敏之 教授らがウイルスのRNAを感知するToll様受容体と輸送に関与するUNC93B1との複合体構造を解明


自然免疫系は、ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入してきたときに、これらを感知し速やかに免疫機能を活性化させ、インターフェロンなどの抗ウイルス分子の産生を促します。Toll様受容体(TLR)は自然免疫系において病原体由来の分子を認識するセンサーとして働きます。中でもTLR3、7、8、9はウイルスや細菌由来の核酸(DNAやRNA)を認識することが知られています。我々の生体内には自らの核酸が多く存在するため、自己由来の核酸を認識することによる誤った免疫応答を避けるために、これらのTLRは細胞中で存在する場所を厳密に制御される必要があります。UNC93B1はこれら核酸認識TLRと結合し、TLRを細胞内の適切な場所に運ぶ役割を果たすことが報告されています。しかしながら、TLRとUNC93B1の詳細な相互作用様式はこれまで明らかになっていませんでした。

蛋白構造生物教室の石田英子 特任研究員、大戸梅治 准教授、清水敏之 教授らの研究グループはクライオ電子顕微鏡(Cryo-EM)を用いて、TLR3-UNC93B1複合体およびTLR7-UNC93B1複合体の立体構造を明らかにしました。その結果、TLRとUNC93B1は主に互いの膜貫通領域を介して結合していることが示されました。TLRによる自己由来の核酸の認識は、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患につながることが知られています。この研究により、核酸認識TLRが正しく機能を発揮するための重要なステップが明らかになったことから、新たな自己免疫疾患の治療薬の開発が進むことが期待されます。

本研究成果は2021年1月12日付でNature Structural & Molecular Biology電子版に掲載されました。
発表論文
雑誌名:Nature Structural & Molecular Biology
論文タイトル:Cryo-EM structures of Toll-like receptors in complex with UNC93B1
著者:石田英子*、浅見仁太、張志寛、西澤知宏、重松秀樹、大戸梅治†、清水敏之†(*筆頭著者、†責任著者)
DOI番号:10.1038/s41594-020-00542-w
論文へのリンク:https://www.nature.com/articles/s41594-020-00542-w
 
詳しくはこちら
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z0111_00034.html


2024/03/22
プレスリリース 生理化学教室の竹田穣大学院生、知念拓実助教、畠星治特任講師、北川大樹教授らの研究グループが中心小体の基本骨格形成メカニズムを解明new
2024/03/18
プレスリリース 天然物合成化学教室の渡邉歩博士、長友優典講師、廣瀬哲博士、彦根悠人大学院生、井上将行教授が、AIDS根治を志向したチグリアンジテルペンの全合成を達成new
2024/02/16
プレスリリース 分子薬物動態学教室の吉開泰裕大学院生、水野忠快助教、楠原洋之教授らの研究グループが、言語AIが多様な化合物構造を学習する過程の特徴を発見
2024/02/08
受賞 天然物化学教室の森貴裕准教授が第16回井上リサーチアウォード (Inoue Science Research Award)を受賞
2024/02/07
プレスリリース 衛生化学教室の青木淳賢 教授、薬化学教室の大和田智彦 教授らの研究グループが免疫を活性化するGタンパク共役型受容体GPR34のリガンド結合様式を解明
2024/01/17
プレスリリース 蛋白構造生物学教室の浅見仁太 大学院生(研究当時)、清水敏之 教授、大戸梅治 准教授らの研究グループがB型肝炎ウイルスが感染受容体に結合するしくみを解明
2024/01/12
プレスリリース 薬品代謝化学教室の小松徹助教らの研究グループが、1分子レベルの酵素活性計測に基づく膵臓がん患者血液中の酵素活性異常の発見
2024/01/09
プレスリリース 薬品作用学教室の池谷裕二教授が、東北大学と共同で、迷走神経は情動を形成するための脳活動と連動する仕組みを解明
2023/12/22
プレスリリース 東京大学大学院薬学研究科の冨士田壮佑特任研究員、三浦正幸教授、中嶋悠一朗講師らの研究グループが、常在幹細胞と再生特異的な未分化細胞が協調することでクラゲの触手が迅速に再生する仕組みを解明
2023/12/21
プレスリリース 薬品代謝化学教室の栗木優五大学院生、曽川マリー大学院生(いずれも研究当時)、浦野泰照教授らの共同研究グループが、タンパク質分解酵素の働きを視る蛍光分子の新規モジュール型設計法を確立
東京大学

東京大学 薬友会 薬学振興会
東京大学 医療イノベーションイニシアティブ
ワンストップ創薬共用ファシリティセンター 創薬機構
東大アラムナイ 東京大学基金

Copyright© 2018
東京大学大学院 薬学系研究科・薬学部
All Right Reserved.
Produced by coanet

ページの上部へ↑