メニュー

EN

トピックス

2020/10/20

蛋白構造生物学教室の張志寛 助教、大戸梅治 准教授、 清水敏之 教授と大日本住友製薬株式会社の共同研究チームがクライオ電子顕微鏡 (Cryo-EM) 分析を用いて高分解能でのTLR7/新規阻害剤の複合体構造を解明


東京大学大学院薬学系研究科蛋白構造生物学教室の張志寛 助教、大戸梅治 准教授、 清水敏之 教授と大日本住友製薬株式会社の共同研究チームがクライオ電子顕微鏡 (Cryo-EM) 分析を用いて高分解能でのTLR7/新規阻害剤の複合体構造を解明しました。本研究成果は2020年10月15日付でNature Communicationsに掲載されました。
 
発表雑誌
雑誌名:Nature Communications
題目:Structural analysis reveals TLR7 dynamics underlying antagonism
著者:Shingo Tojo*†, Zhikuan Zhang*, Hiroyuki Matsui, …, Umeharu Ohto† and Toshiyuki Shimizu† (* co-first authors, †co-corresponding authors)
DOI:10.1038/s41467-020-19025-z
論文へのリンク:https://www.nature.com/articles/s41467-020-19025-z
 
発表概要
 自然免疫は病原微生物感染に対する重要な生体防御システムであり、Toll様受容体 (Toll-like receptor, TLR) は自然免疫システムにおいて中心的な役割を果たしています。TLR7は一本鎖RNAの受容体として知られていますが、過剰な応答は全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患に関与することが知られています。近年、TLR7を標的とした自己免疫疾患の治療薬が世界中の研究グループおよび製薬企業により開発されていますが、阻害剤によるTLR7の阻害機構の分子メカニズムは解明されていませんでした。
 大日本住友製薬の共同研究チームは、TLR7の強力な低分子アゴニストを起点とし、様々な誘導体化合物を合成しTLR7に対する特異的かつ強力な阻害剤を創出しました。この化合物をSLEモデルマウスに投与した結果、腎炎発症の抑制および生存率の改善が見られました。さらに本研究グループはクライオ電子顕微鏡およびX線結晶構造解析を併用して、TLR7が上記の阻害剤による動的な構造変化を引き起こすこと、つまりTLR7は、クローズ型(活性化型)とオープン型(不活性化型)のコンフォメーション間の動的な平衡状態のため、安定な活性化状態を保持できず、不活性の阻害状態となることを明らかにしました。さらに、東京大学Cryo-EM施設のTitan Krios電子顕微鏡を用いて、世界で初めてTLR7/阻害剤複合体の高分解能の分子構造も明らかにしました。
 本研究グループの成果はの阻害機構を理解するうえで重要な構造的基盤を提供し、TLR7をターゲットとした自己免疫疾患の画期的な治療薬の開発が進むと期待されます。
詳しくはこちら

2023/10/27
プレスリリース 有機合成化学教室の藤村亜紀子 博士研究員、川島茂裕 准教授、金井求 教授らの研究グループが、ペプチドを低分子に機能変換するアダプター分子の開発に成功
2023/10/16
プレスリリース 東京大学大学院薬学系研究科の桑山尚大大学院生/特別研究員(研究当時)、後藤由季子教授(兼:ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN) 主任研究者)らの研究グループが、同大学定量生命科学研究所の鯨井智也助教、胡桃坂仁志教授らとの共同研究により、これまで機能に不明な点が多かった因子HMGA2がクロマチンを直接凝集させる活性を持つことを明らかにしました
2023/09/22
プレスリリース 有機合成化学教室の幅崎美涼 大学院生、水本真介 受託研究員、梶野英俊 博士研究員、川島茂裕 准教授、山次健三 助教、金井求 教授らの研究グループが、細胞内で酵素のようにヒストンを修飾する化学触媒の開発に成功
2023/09/14
受賞 分子生物学教室 後藤由季子教授が2023年度「武田医学賞」を受賞
2023/09/14
プレスリリース 蛋白構造生物学教室の張志寛 助教、大戸梅治 准教授、清水敏之 教授らの研究グループが、NLRP1インフラマソーム活性化の新たな抑制因子としてチオレドキシンを同定し、その複合体の構造を解明
2023/09/09
プレスリリース 東京大学大学院薬学研究科の長井広樹博士研究員、三浦正幸教授、中嶋悠一朗講師らの研究グループが、栄養環境に応答した脱分化現象を同定
2023/08/29
プレスリリース 天然物合成化学教室の渡邉祐基大学院生、両角久寛大学院生、武藤大之博士、萩原浩一助教、井上将行教授が、ステロイドアルカロイドであるバトラコトキシンの全合成を達成
2023/08/04
プレスリリース 蛋白質代謝学教室の入木朋洋大学院生(研究当時)、濱崎純講師、村田茂穂教授らによる研究グループが老化細胞におけるタンパク質分解センターを発見
2023/07/05
お知らせ 薬学系研究科の後藤由季⼦教授がEMBO Associate Memberに選出されました
2023/06/16
プレスリリース 遺伝学教室の中野翔太郎大学院生(研究当時)、樫尾宗志朗助教、三浦正幸教授らによる研究グループが、ショウジョウバエを用いて感染によらない自己成分を介して組織傷害を感知して自然免疫を活性化するメカニズムを解明
東京大学

東京大学 薬友会 薬学振興会
東京大学 医療イノベーションイニシアティブ
ワンストップ創薬共用ファシリティセンター 創薬機構
東大アラムナイ 東京大学基金

Copyright© 2018
東京大学大学院 薬学系研究科・薬学部
All Right Reserved.
Produced by coanet

ページの上部へ↑