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2018/08/30

有機反応化学教室の喜多村佳委博士、伊藤寛晃助教、井上将行教授が、抗がんペプチド系天然物ヤクアミドBの作用機構を解明


有機反応化学教室の喜多村佳委博士、伊藤寛晃助教、井上将行教授は、東京農工大学の櫻井香里准教授、がん研究所の旦慎吾博士と共同で、抗がんペプチド系天然物ヤクアミドBのATP合成酵素に対する作用を初めて明らかにしました。本研究成果は、2018年8月29日付けでJournal of the American Chemical Society電子版に掲載されました。

発表論文
掲載雑誌名: Journal of the American Chemical Society
論文タイトル: Target Identification of Yaku’amide B and Its Two Distinct Activities against Mitochondrial FoF1-ATP Synthase
著者: Kai Kitamura, Hiroaki Itoh, Kaori Sakurai, Shingo Dan, Masayuki Inoue*
DOI: 10.1021/jacs.8b07339
論文へのリンクはこちら:
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jacs.8b07339

発表概要:
ヤクアミドBは、通常のペプチドとは異なり4つのα,β-不飽和アミノ酸を有する複雑構造ペプチド系天然物です。本化合物は、複数のがん細胞系列に対して既存の抗がん薬とは異なるパターンで極めて顕著な増殖抑制活性を示すため、新たな抗がん薬シーズとして期待されていますが、その作用機構はこれまで一切明らかになっていませんでした。
今回、本研究グループは、ヤクアミドBを化学的に構築する全合成法を応用し、ヤクアミドB誘導体群の合成とこれらを用いた標的タンパク質同定を試みました。その結果、本化合物は細胞内でミトコンドリアに集積し、FoF1-ATP合成酵素に対して結合することを世界で初めて明らかにしました。さらに、本分子のFoF1-ATP合成酵素に対する作用を解析することで、ヤクアミドBがFoF1-ATP合成酵素によるATP産生を抑制する上、同酵素による逆反応であるATP加水分解を亢進することを初めて見出しました。このような作用を示す化合物はヤクアミドBが初めての例であり、本研究によりヤクアミドBの示す特異な機能を利用した抗がん薬シーズ開発への展開が期待されます。
 

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