東大薬学系研究科主催「組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウム」レポート

派遣期間 平成24年6月6日〜平成24年6月14日(9日間)

派遣先 University of CAMBRIDGE, University of OXFORD, University of BONN


黒内 寛明(薬化学教室・博士課程1年)

 私は今回、東京大学薬学系研究科主催の「組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウム」に参加致しました。本シンポジウムは東京大学の一條秀憲教授を中心として組織されたものであり、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、ボン大学の3カ所において、東京大学薬学部及び各大学の教員・学生によって口頭発表とポスター発表が行われました。私はケンブリッジ大学にて、これまでに研究を行ったテーマである超強酸溶媒中での芳香族求電子置換反応についてのポスター発表を行いました。
 今回のシンポジウムは全体的に分子生物学の研究発表が主であり、普段研究を行う上であまり関わらない分野の発表を聞くことができました。生物学の中で有機化学に期待されている役割を聞くことができたのは、これからの研究を考えていく上で収穫になりました。
 また、銅を中心とした遷移金属触媒を用いた反応開発で成果を上げているM. J. Gaunt教授の研究室の方々のポスターセッションに参加させて頂き、最先端の研究成果を実験を行った研究者自身から聞くことができたとともに、自分自身の研究を紹介することができました。分野は若干異なりますが、現在の反応化学の主流である遷移金属触媒を用いたC?H活性化の化学について、新規反応を報告するだけでなく、それらを魅力的に展開してゆくその手法には多くの学ぶところがあり、刺激を受けました。
 今回のシンポジウムで出会った研究者の方々からは研究を楽しむ意思が明確に感じられ、これから研究を行っていく上でとてもよい刺激を受けました。本プログラムを組織してくださった方々に深く感謝致します。
 

Firman(薬化学教室・修士課程2年)

From June 6-13 2012, I participated in the ‘Program for Young Researcher Symposium in Europe’ to University of Cambridge, University of Oxford, and University of Bonn. At these universities, we had seminars both were presented by the host universities and The University of Tokyo representatives. Beside the seminars, we also have poster sessions, mainly participated by students.
Our first stop was Cambridge Institute for Medical Research (CIMR) and Institute of Metabolic Science (IMS), University of Cambridge. For the beginning of the lecture sessions, the graduate students of the University of Cambridge shared their student life in Cambridge so we may have a glance about how they spent the time in Cambridge. After that, we have the lectures from both University of Tokyo and University of Cambridge. After the lectures, visit to University of Cambridge was closed with poster session during and after lunch in CIMR.
The next day we visited Structural Genomics Consortium (SGC), University of Oxford. At this university we also have lectures and poster presentation. On the lecture sessions, I was very interested in Dr. Liz Carpenter’s lecture, which about solving human membrane protein’s structures. I also study about her poster in the poster session and we discussed about the human protein’s structure.
The last stop of the symposium was at the University of Bonn. This time, I have my poster session and my poster title was “New Caged-Nitric Oxide. Visible-Light-Triggered Released of Nitric Oxide from N-Pyramidal Nitrosamines”. The poster session at University of Bonn was held during the lunch break for 1.5 hours and before the dinner for another 1 hour. Several professors and students were interested in my poster. Fortunately, there was one professor who study the same topic with I do but from another aspects. Basically I study about design and synthesis of N-nitrosoamines that can release nitric oxide upon irradiation. In the meanwhile, the professor I met study about the biological aspects and signaling of the nitric oxide in the cell. After I have a talk and discussion with the professor, it widened my view about my research. It helps me to understand more about how to design and utilized the compounds I am working with now. On the next day, we also have a chance to visit laboratories in University of Bonn, including the facilities they owned.
At last, I would like to appreciate very much for the financial support of this ‘Program for Young Researcher Symposium in Europe’.

 

伊藤 寛晃(有機反応化学教室・博士課程3年)

 本派遣プログラムにより、被派遣者は平成24年6月6日〜6月14日の9日間、University of CAMBRIDGE, University of OXFORD, University of BONNにておけるシンポジウム・ラボツアーに参加し、University of OXFORD, University of BONNにおいてのポスター発表を行った(発表タイトル:Design, synthesis and functional analysis of polytheonamide mimic: an artificial peptide ion channel)。他の専攻の研究者を含めた幅広い分野の最先端の研究に触れることができ、加えて自らのこれまでの研究内容を海外に発信する機会を頂き、大変有意義な時間を過ごすことができた。ポスター発表においては様々な分野の方と意見交換を行うことで、自身の研究内容に関して新しい視点を得ることができたと感じた。また、University of CAMBRIDGE、University of BONNでのラボツアーでは、関連する研究を行なっている学生や先生方と議論したり、研究設備を見学させていただいたりすることで、多くの面で参考になっただけでなく、普段論文等で研究内容に触れている海外の研究室で、学生が研究している風景を目の当たりにし、彼らと交流を深めることができたのは、大変楽しくかつ刺激的な体験であった。また、今後の研究を推進する上で励みにもなったと感じている。
 最後にこのような貴重な機会を与えて下さった関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

星川 環(有機反応化学教室・博士課程3年)

 今回は東京大学薬学系研究科主催の「組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウム」において、イギリスのケンブリッジ大学とオクスフォード大学、並びにドイツのボン大学を訪れた。およそ一週間に及ぶ本シンポジウムの中で、私はケンブリッジ大学とオクスフォード大学において、ポスター発表を行った。 ケンブリッジ大学では化学科のGaunt教授の研究室を訪れ、所属する学生や研究員の方々とポスターを用いて意見交換した。特にAndy研究員は以前に私と同じ分野の研究に携わっており、研究の細部に渡る厳密な議論を行うことができた。お互いの研究成果から見出された共通見解を確認し、また研究の今後の方針に関する助言を頂くこともでき、極めて有意義な時間を過ごせたと実感している。
 一方、オクスフォード大学では構造活性相関の研究を行っている方が多く、ケンブリッジ大学とはまた異なった視点で議論を行うことが出来た。私は有機合成における新規方法論の開発を手がけているが、今回のポスター発表では開発した方法論の応用について多くの意見を頂くことができた。構造活性相関では原則として信頼性が高く、また迅速性に優れる反応が好まれる。今後の研究においては、創薬研究者のそういった視点を意識することで、より優れた変換法の開発が可能になると考えている。
 現在大学では、海外の研究者と議論を行う機会は限られている。今回のシンポジウムを通じて、海外の学生や教員と存分に意見を交わすことができ、様々な新しい点に気付かされた。例えば、英語で意思伝達を図る場合、語彙や発音以上に、話の論理展開が重要であることを実感した。今回の経験は極めて貴重なものであり、多くの海外研究者と積極的に交流を行うことの重要さを改めて考えさせられる良い機会となった。

駒井 宏友(有機合成化学教室・博士課程1年)

 今回、私は組織的な若手研究者等海外派遣プログラムの支援の下、2012年6月6日から6月14日まで、CAMBRIDGE大学、OXFORD大学、及びBONN大学でのシンポジウムに参加し、ポスター発表を行いました。本シンポジウムでは主として生物分野に関する演題の発表が行われ、有機化学を専攻している私にとって普段接することのない研究分野に触れる絶好の機会となった。
私が本シンポジウムにおいて最も印象深かったのはCAMBRIDGE大学のGaunt教授の御厚意により、開催された化学系学生に向けたポスターセッションである。彼らのGroupは私が取り組んでいる研究課題と似た研究を行っており、特に『アンサイクリックアミンを配向基としたsp3C-H官能基化反応』の研究からは多くのことを学ばせて頂いた。また素晴らしいことに、食事会も開催して頂くことになり、交流を深めることが出来、大変有意義なものとなった。
 今回のシンポジウムを通して、国内では困難である多くのことを経験することが出来た。このような貴重な経験をさせて頂き、『組織的な若手研究者等海外派遣プログラム』の関係者には心から感謝申し上げます。

橋詰 祥伍(有機合成化学教室・博士課程1年)

 今回のシンポジウムツアーで一番印象に残っているのは、Cambridge大学化学科の訪問である。私の現在の研究分野である有機合成化学を研究するGaunt研の方々にホストしていただき、実際の研究内容に関するディスカッションから日常生活に関する話まで、現地の学生と近い距離で話すことができた。この中で感じたことがいくつかある。
 まず、総じて英語のレベルが高い点である。イギリスの大学なので当たり前のことかもしれないが、ラボメンバーの半分が海外からの留学生・ポスドクであるという。いくら英語圏で生活しているといえども、ネイティブでない彼らの英語レベルは非常に高かった。現在も将来的にも研究者として生きていくうえで英語は欠かせない能力であり、更なる英語力の向上が必要だと刺激を受けた。
 欧米では研究室での拘束時間が短いという話をよく聞くが、Gaunt研では大体のメンバーは平均して一日12時間は働き土曜も来るという。しかし、私の研究室と同じくらいか少し短い程度で彼らはハイペースで結果を出している。この効率性の違いがどこから来るのかはわからなかったが、少ない時間で最大限のアウトプットを生み出す姿勢は見習うべきところであると思った。
 最後に、大学のあるCambridgeの街の雰囲気である。学術都市なだけに静かで穏やかな空気が流れるいい街であった。東京の真ん中にある大学で研究している私から見ると、人も遊びの誘惑も少ない環境であり研究に集中するのには最適であると感じた(彼らに連れて行ってもらったパブは週末の夜にはナイトクラブのようになるらしいので実際はそうではないのかもしれないが)。
 1日の出来事だけになってしまったが、この日が現地の方々と一番近い距離で話すことができたように思う。このような刺激を受けて、海外留学するのもいいかなと思った。イギリスなら私の好きなサッカーも観れるし一石二鳥である。最後に、このシンポジウムツアーを企画し引率してくださった薬学系研究科の諸先生方・事務の方に感謝いたします。

岩井 ゆり(天然物合成化学教室・博士課程2年)

 私は本プログラムの支援により、University of CAMBRIDGE、University of OXFORD、においてポスター発表を行いました。3つの大学で行われたシンポジウムにおいては、広く薬学領域についての最先端の講演を聞くことができ、普段接する機会の少ない分野においてどのような研究が行われているかを知る良い機会となりました。
 University of CAMBRIDGEにおいて、有機化学分野の我々は化学科の見学という機会も与えられ、学生たちとの交流を楽しむこともできました。研究室の見学では、実験設備や研究環境など、普段の我々とは多少違う点も見られました。ところが、学生一人一人と交流を行ったところ、同じ大学院生として研究生活において非常によく似た状況であることがわかりました。研究を進める中で、同じように沢山の苦労や、悩みを抱え、それでも自分の研究に対して負けないように取組続ける姿勢というものは、大学や国が変わっても同じなようです。そして、互いの研究テーマに関して議論することで刺激を与えられ、互いに「明日からももっと頑張ろう」と言い合える良い交流となりました。
 私の研究テーマは有機化学分野であり、今回のシンポジウム内では少数派でした。そのため、普段触れることのない生物系の分野に関する知識はほとんどありませんでした。ところが、今回のように多岐にわたる分野と短期集中的に交流を行うことで、新鮮な刺激が与えられ、新しい興味をもつこともできました。普段、多くの時間を研究室内で過ごしますが、同じ研究科内でも、「誰がどこでどのような研究に興味を持ち、力を注いでいるのか」についてほとんど知ることはありません。しかしながら、今回のシンポジウムを通じて、多くの研究室の学生と知り合うことができ、互いの研究内容について話し合う中で、「どれほど興味深い研究が自分の実験室の周りにも終結しているのか」を知ることができました。それらは自分の研究に直接関わることではありませんが、自分が将来、いかに社会に貢献するかを考えるならば、多くの研究分野についてより多くを知らなければならないことを痛感しました。
 最後になりましたが、今回このシンポジウムを企画し、私に参加の機会を与えて下さいました本プログラムの関係者の方々に、深く感謝しております。ありがとうございました。

谷村 瞬(天然物合成化学教室・博士課程2年)

 被派遣者?谷村瞬は、組織的若手海外派遣プログラムの支援を受けて、本研究科主催のヨーロッパシンポジウムツアーに参加させて頂いた。本シンポジウムツアーは、9日間の行程でイギリスのケンブリッジ、オックスフォード両大学とドイツのボン大学を訪問し、各々で研究発表、意見交換会を行うものであり、本ツアーにおけるシンポジウムは、いずれも2大学間で行われた。そのため、演題数こそ限られてはいたが、アットホームな雰囲気で様々な分野の研究発表を聴講する機会に恵まれた。ポスターセッションにおいても、普段ではほとんど交流がない分野の研究に、身構えることなく触れることができたことも、この雰囲気の賜物であろう。被派遣者が、オックスフォード大学とボン大学にて、‘‘Synthetic Studies on Huperzine Q”の演題名でポスター発表を行った際にも、有機化学のみならず様々な背景を有する多くの研究者とディスカッション、意見交換を行うことができた。この交流を通じて、研究内容や実験についての多くの助言を頂くと同時に、今後の研究方針や有機化学の役割、立場を再考する契機を得ることができたので、非常に有意義な時間であった。
 また本シンポジウムツアーに設けられていた多くの自由時間で、学内散策のみならず、ロンドン観光、グランドパレス散策、ライン川下りなどを経験することができたのは、欧州訪問が初であった被派遣者にとって非常に新鮮であり、大いに満喫することができた。
 今回のシンポジウムツアーで得られた情報や刺激を今後の研究に大いに活かしたいと考えている。最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださった本海外派遣プログラム関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

竹重 勇哉(天然物化学教室・修士課程2年)

 今回私は平成24年6月6日から6月14日の9日間、組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウムに参加した。このプログラムはケンブリッジ大学・オックスフォード大学・ボン大学の3カ所で講演やポスターセッションを行い、多方面で活躍される各大学の学生や先生方とディスカッションする、というシンポジウムであった。
 ケンブリッジ大学、オックスフォード大学では私自身のポスター発表は行わず、各大学の研究成果の講演、また、他の大学院生のポスターセッションで見聞を広げる事が出来た。今回のシンポジウムでは東京大学院内でも異分野の研究者が集まり講演やポスター発表を行ったため、自分が専門としない内容の議題も多かったが、それを逆手に多くの大学院生に話しかける事ができ、1から丁寧に説明をしてもらえたため、非常に良い経験になった。それと同時に他分野への分野にも関心を持つ事が出来、自身の今後の研究課題を考える上で、選択肢を広げる貴重な経験となった。
 シンポジウム後は大学のラボを案内していただき、日本との生活環境・実験機器の違いを直に感じる事が出来た。 ボン大学にて私はポスターセッションを行い、色々な方と有意義なディスカッションを行う事が出来た。特に、ポスターセッション中にボン大学のJorn Piel教授にお会いできた事は大きな収穫となった。Piel教授は現在私が研究を行っているmetagenome libraryを用いた研究分野の最前線にいらっしゃる方であり、常々尊敬の念を抱いている方である。ポスター発表の時間終了直前にお会いした為、深いディスカッションをするとまではいかなかったが、同じ分野の研究を行う人間として会話が出来た事は非常に価値のある経験だったと思う。
 今回のプログラムを通して1番日本と海外の違いを感じたのは実験・プレゼンテーションに対する姿勢であった。日本人は自分の思っている事をはっきり口に出さない傾向があると思われる。それを日本人の長所とする部分もあるのだが、殊研究に関してはそういう訳にはいかないと感じられた。わからない事は素直に聞く、わかる事ははっきり説明する。そういった当たり前の事ができない私にとって、今回の海外の大学院生とのディスカッションは非常に有益だった。また、講演中の先生方の話し方も非常に参考になった。どの様に話せば異分野の人間でも自身の研究内容を理解してもらえるか、どう動作を付ければ皆が注目するか、実際に講演を聴いて会話に引き込まれていく様に感じられ、色々な事を吸収する事が出来たと思う。9日間という期間ではあったが、学ぶ事は多く、自身の肌で直に研究の最前線を見学できた事は本当に良い経験であった。
 最後に、今回この様な素晴らしい機会を与えてくださった東京大学大学院天然物化学教室の阿部郁朗教授、また組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウムの関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

但馬 大紀(天然物化学教室・修士課程1年)

 私は今回、本派遣プログラムによりCambridge、Oxford、Bonn大学にて開催された若手シンポジウムに参加させていただきました。  いずれの大学のシンポジウムも大変刺激的であり、とりわけOxford大学におけるLiz Carpenter氏(SGC, Structural Genomics Consortium所属)のヒト膜タンパク質の結晶化についてのご講演が興味深く、講演後にディスカッションをさせていただくことができました。
 私自身のポスター発表はBonn大学で行いました。Bonn大学で天然物を扱う研究室の学生とディスカッションを行うことができたり、私の研究内容に近い分野である蛍光プローブの合成に着手されているGustow教授からサジェスチョンをいただけたりと、非常に有意義なものとなりました。また以前、私の所属している天然物化学教室から二名が同様の若手派遣プログラムによりBonn大学のPiel教授の研究室にお世話になったのですが、そのPiel教授もシンポジウムをたまたま見にいらしており、お話を伺うことができました。写真はそのときの様子です。
 講演やポスター発表のみならず、現地の学生と交流できたのも大きな収穫でした。Cambridge大学では、シンポジウム終了後に研究室の学生と食事をしました。研究から日常生活にいたるまで様々なお話を学生目線で伺うことができ、有意義な時間を過ごすことができました。
 総じて今回の派遣はわずか9日間とは思えないほど充実しており、今後の研究への刺激にもなりました。最後になりますが、このような貴重な機会を与えて下さった阿部先生、ならびに本派遣プログラムを引率して下さった一條先生ほか関係者の皆様に深く御礼申し上げます。

尾崎 孝爾(基礎有機化学教室・修士課程2年)

私は組織的な若手研究者等海外派遣プログラムの支援を受けて、2012年6月6日から6月14日まで、東大薬学系研究科主催「組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウム」に参加し、ポスター発表を行いました。本ツアーは生命科学の様々な分野の研究者が研究発表、議論を行う学会でした。私は有機化学を専攻しているのですが、これからの医療科学の重要性を再認識することが出来ました。
 私は イギリス、ケンブリッジ大学のAddenbrooke’s hospitalにて「Cross-Coupling between Aromatic Ethers and Zincates」という題でポスター発表を行いました。またイギリス、オックスフォード大学Structural Genomics Consortium Oxford (SGC Oxford)、ケンブリッジ大学化学科Gaunt教授の研究室やドイツ、ボン大学のBiomedical Instituteを見学させて頂くことが出来て大変有意義な時間が過ごせました。
 ポスター発表では、大きく分野が異なるにもかかわらず、私の同級生の研究内容を知るきっかけとなりましたし、現地の学生がどのような研究に従事しているかを知ることが出来て、貴重な経験を積むことができました。また講演会では普段聞き慣れない内容の研究テーマを英語で聞くことが出来ましたし、本学研究科の多くの先生の研究内容を拝聴することが出来て、希有な機会であると感じました。
 本学会を通して、自分の研究を俯瞰し、今後の展開への糸口を見つけることができました。また、短い時間でしたが同年代の研究者との交流は研究を続ける大きな励みになりました。このような機会を与えて下さいました、若手研究者等海外派遣プログラムに心より御礼申し上げます。

楊 倬皓(生体分析化学教室・修士課程1年)

 「タフな東大生を作る」これが今回のシンポジウムツアーの目的であると聞きました.ツアーを終えた今,目的を達成できたのだろうかと自問してみると,ある程度自信をもって肯定することが出来るように思います.
ケンブリッジ大学.オックスフォード大学,そしてボン大学という世界に名だたる名門校を9日間で訪問するという今回のプログラムは,肉体的にかなりタフなもので,日本とは異なる環境に即座に適応する能力を鍛えられました.ヨーロッパはそれぞれの地域,それぞれの大学に個性があり,街や建物やそこに住んでいる人々の違いを肌で感じることができて,日常とは異なる環境のなかに身をおくことで新しい発見や発想がどんどん生まれることを実感しました.
 それぞれの大学で先生方や学生たちのプレゼンテーションを聞きましたが,そのレベルの高さに驚きました.研究はもちろん内容が大事なのですが,それを他人に伝える技術も同じくらい重要なのだと改めて気付かされました.自分の研究を淡々と述べるだけではなく,いかに相手に分かりやすく伝えるかということを常に意識しながらプレゼンテーションを行うことの重要性を教えられた気がします.
 自分のポスター発表では海外の大学生と議論する機会に恵まれました.普段日本にいるとなかなか英語で議論する機会がないので,これはとても貴重な経験になりました.異なる文化圏にいると,研究に関しても異なる視点を持っていることが多く,ディベートをするなかで様々な発見がありました.海外の学生たちと積極的に交流することで英語に対するためらいが消えて,精神面でもタフになれたと思います.私の拙い英語の説明を真剣に聞いてくれた学生たちには本当に感謝しています.
 今回,イギリス・ドイツの大学を訪問して特に感じたことは,研究をしていく上で世界中の人と交流することが必要不可欠であるということです.自分の研究内容を発信し,議論を通して深めていくために,英語を学び,積極的にコミュニケーションをとっていく決意を新たにしました.今回学んだことを今後の研究に生かしていきたいと思います.

外山 侑樹(生命物理化学教室・博士課程2年)

 被派遣者である外山侑樹は、本プログラムが主催する「組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウム」へ参加し、その中でケンブリッジ大学、ならびにオクスフォード大学にて主催されたシンポジウムにてポスター発表を行った。 ケンブリッジ大学でのシンポジウムでは糖脂質代謝酵素の結晶構造解析を行っているJanet Deane教授や、γ-セクレターゼ構成蛋白質の単粒子解析を行っているPeter St George-Hyslop教授をはじめとした、幅広い学問分野の最先端の研究内容にふれることができた。分野の枠組みにとらわれない多様な研究手法や、疾病メカニズムの解明や治療戦略の確立といったエンドポイントを明確に打ち出した研究課題の設定は、自分の研究を遂行するうえで多いに参考になるものであった。また、ポスターセッションでは、構造生物学以外にも生理学を先行する研究員の方々とディスカッションする機会に恵まれた。
 オクスフォード大学のStructural Genomics Consortium (SGC) で行われたシンポジウムでは、SGCの構造生物学、創薬分野での優れた研究成果に非常に強い刺激を受けた。特にSGCでは、ヒト蛋白質の構造解析を行う、成果をいち早く公開すること、企業と協力して研究の有用なツールとなる生理活性物質を探索することを方針として強く打ち出しており、研究成果をあげるのみならず、その先の社会還元を強く志向している点に非常に大きな刺激を受けた。SGCでのポスターセッションでは、私の研究対象とするイオンチャネルの構造解析を行っているLiz Carpenter教授とディスカッションする機会に恵まれた。タンパク質精製の手法から、研究内容の生理的な意義、今後の研究展開に至るまで熱心にディスカッションして頂き、非常に有意義な発表を行うことができた。
ボン大学でのシンポジウムでは、Klaus Mohr教授らがDynamic Mass Redistribution (DMR) と呼ばれる新手法を活用し、創薬ターゲットとして重要なG蛋白質共役型受容体 (GPCR) のシグナル伝達経路のバイアスや、GPCRの活性を制御するリガンド探索法について発表を行っており、GPCRをターゲットとした創薬に対して知見を深めることができた。
 私は国外での研究発表は初めてであり、本シンポジウムへは少なからず不安を感じて臨んでいたが、多くの研究者に発表を理解して頂き、有意義なディスカッションを展開することができたことは大きな自信へとつながった。英語でコミュニケーションする機会に恵まれたことのみならず、私自身の研究をより俯瞰的な視点から捉えられたという点でも、得難い経験を積むことができた。最後になりますが、このような素晴らしい機会を与えてくださった、本プログラムの関係者の皆様には心より感謝申し上げます。

鈴木 隆 (生命物理化学教室・修士課程2年)

 6月7日にケンブリッジ大、8日にオックスフォード大、11日にはボン大にて、それぞれシンポジウムに参加した。ケンブリッジ大学では Institute of Metabolic Science (IMS) と Cambridge Institute for Medical Research (CIMR) との共催、オックスフォード大では Structural Genomic Consortium (SGC) との共催、ボン大では Pharmaceutical Institute および Biomedical center との共催のシンポジウムであり、私の専攻する構造生物学に関連する内容の講演や、普段の研究ではなじみの薄い分野の講演まで、様々な話を聞く機会に恵まれた。特に、私と同じく構造生物学的研究を展開する SGC は、我々の研究室と戦略の違いはあるものの、がん疾患などに関与するタンパク質の構造決定を破竹の勢いで行なっており、疾患に対する新規治療薬開発の基盤を築こうとする精力的な姿勢に感銘を受けた。また、シンポジウム終了後には、共催側の研究室を見学させていただき、海外の研究機関の環境を肌で触れることができた。
 自身は、オックスフォード大にて “The effect of tensile force on CD44-mediated cell rolling” の演題名にてポスター発表を行ない、SGC の方と有益なディスカッションを展開することができた。私にとって海外でのプレゼンテーションは初体験であり、今後、創薬科学の分野にてグローバルな活躍を目指す上で良いきっかけとなった。
 今後、今回のシンポジウムを通して学んだことを糧に、自身の研究をより一層発展させ、海外の研究者の方々とさらに深く真剣なディスカッションが展開できるよう、頑張っていきたい。最後に、今回のシンポジウムに参加する機会を与えていただきました、本海外派遣プログラムおよび関係者の方々に、心より感謝申し上げます。

谷地 理恵子(衛生化学教室・博士課程2年)

 組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウムに参加させていただき、オックスフォード大学とボン大学でポスター発表を行いました。英語で意見を述べることの難しさを改めて実感しましたが、様々な分野の研究者からご意見?ご助言を頂き、交流を深めるとともに良い情報収集ができたと思います。海外へと足を運び、研究者同志が直接会って意見交換することが如何に重要であるかを知りました。また、ケンブリッジ大学のシンポジウムではCell signalingやMembrane traffic研究の最前線を学ぶことができ、とても有意義な時間を過ごす事ができました。
 今回、第一線で活躍する研究者達から良い刺激を受け、研究を進める上での見解が広がりました。このような機会を与えて頂きましたことに、心から感謝申し上げます。

向井康治朗(衛生化学教室・博士課程1年)

 私は東大薬学系研究科主催の組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウムに参加してきました。 このシンポジウムを通して私は、創薬研究の最先端のトピックに触れ、海外の研究者と英語で議論し、また海外の研究室を見学し雰囲気を体験する、という得難い経験をすることができました。
この学会で得られた経験は自分の今後の研究にとって励みになり、研究を進めて成果を出して再度発表する機会を持てればと思わせるものでした。
 最後に、このような貴重な機会を与えてくださったプログラム関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

春日 秀文(生理化学教室・博士課程3年)

 平成24年6月6日から14日にかけて、英国ケンブリッジ大学、英国オックスフォード大学、及び、独ボン大学にて開催されたシンポジウムに参加致しました。このシンポジウムツアーを通じて、世界の著名な研究者の講演を聞き、海外の第一線の研究者との議論を通じて、貴重な意見や情報を得ることが出来ました。さらに、”The microRNA mir-235 is essential for developmental arrest in Caenorhabditis elegans” の演題で、ケンブリッジ大学、及びボン大学においてポスター発表を行い、海外の研究者や大学院生からの貴重な意見を頂き、そして議論を深めることが出来ました。このシンポジウムツアーへの参加により、世界の一流のサイエンスに触れることで、私自身にとって、非常に得難き経験になったと実感しております。最後に、このような複数国、多大学にまたがり、多分野に渡るトピックのシンポジウムに参加させて頂く機会を与えて下さった本シンポジウムツアーの関係者の皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。

阿部 芙美子(生理化学教室・博士課程2年)

 私はH24年6月6日より9日間の日程で「組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウム」に参加し、英国のCambridge大学とOxford大学、そしてドイツのBonn大学にて、最先端の医薬研究に触れる機会を頂きました。Cambridge大学ではInstitute for Medical Research (CIMR)とInstitute of Metabolic Scienceの先生方より各研究内容のプレゼンテーションが行われ、ポスターセッションでは私のこれまでの研究成果を発表し、ケンブリッジの学生との交流を楽しむことができました。Oxford大学ではNuffield Department of Clinical Medicineの主にStructural Genomics Consortiumに関わる先生方の講義を聴講しました。Bonn大学には2日間お世話になりましたが、1日目にはInstitute for Pharmacology & Toxicology等の先生方によるシンポジウムやポスターセッションが行われ、私はこちらでもポスター発表をさせて頂きました。2日目の午前は生物系の研究所内を見学し、さらに午後はボン大学の先生方と一緒にライン川を船で下りながら、ボン大学の学生生活や大学院プログラムの話をより詳しく伺うことができました。
今回の欧州滞在の中で、特にCIMRでは疾患研究だけでなく基礎研究にも積極的である点が印象的で、重点領域には私の研究分野である細胞内膜輸送や自己免疫疾患が含まれており、ディスカッションは大変有意義な経験となりました。全体を通して、海外と日本での研究スタンスの違いや博士号の重みの差を実感し、今後の学業の励みを得たと思います。このような機会を与えてくださった本プログラムとその関係者の方々に心より感謝申し上げます。
 

藤平 陽彦(生体異物学教室・博士課程3年)

 今回、「組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウム」に参加させていただき、自分の研究をケンブリッジ大学、ボン大学にてポスター発表した。今までに、一度しか国際学会で発表したことがない私にとって、今回のシンポジウム参加はとても貴重な経験となった。
 今回のシンポジウムでは、構造生物学、ニューロサイエンス、シグナル伝達などに関する講演、ポスター発表が多く、自分の研究領域である感染症、糖鎖生物学とは少し異なったが、普段あまり触れることのない領域の講演は新鮮で、非常に勉強になった。現在所属している研究室の研究領域と重なることもあるが、全体を通して最も印象に残っている講演は、オックスフォード大学でのDr. Eric O’Neil氏のがん幹細胞に関連するような内容の発表である。あるタンパク質を過剰発現することで、がん細胞の異常増殖が抑制され、そのがん細胞ががん幹細胞のようになるという内容であり、非常に興味深かった。また、現在、私たちの研究室で取り組んでいる研究テーマと関連付けられる部分はないかと考えさせられた。
 さらに、博士課程から現在の研究室に在籍している私にとっては、ケンブリッジ、オックスフォード、ボン大学側の発表だけではなく、東大側の発表も、他の研究室でどのような研究が行われているのかを改めて知る良い機会となった。
 このように、“同じ薬学系研究科でどのような研究が進められているのか”、“海外の世界トップレベル大学でどのような研究が行われているか”をこのツアーを通して知り、経験することができたことは、これから自分の研究を進める方向性を決定したりする上でとても良い刺激となり、今まで以上に研究に対するヤル気が生まれてきた。このヤル気をキープしながら、卒業まで自分の研究に邁進し、駆け抜けて行きたいと思う。
 最後に、このシンポジウムを企画して下さった一條先生をはじめ、引率して下さった先生の皆様、関係者の方々に厚く御礼申し上げます。

村上 龍一(生体異物学教室・博士課程1年)

 今回、本プログラムにて、自分が専門とするImmunologyの分野に限らず、様々な分野(Cell Biology, Genetics, Signaling, Structual biology, Organic chemistryなど)が一同に会するシンポジウムに参加させていただきました。そのため、普段は目にしない研究のアプローチを聞くことが出来、また、実際に、お互いにディスカッションすることが出来ました。この経験は、自らの研究を発展するために、非常に有意義なものとなったと思います。
 本シンポジウムでは、修士課程において行った研究(真皮に存在するTh2型の免疫応答を誘導する新たな樹状細胞亜集団)について発表いたしました。各々の専門分野が違うという事もあり、何が新しい点なのか、自分の研究の何が新しいのかを伝えるのに苦労する事もありましたが、それが逆に、聞き手に対して分かりやすく説明を行う練習になったとも思います。
 今後は、本シンポジウムでの経験を活かし、異分野の視点を取り入れたアプローチを自らの研究に取り入れることで更に研究を発展させようと考えております。シンポジウムへの派遣の機会をいただきありがとうございました。

竹内 健一(遺伝学教室・修士課程2年)

 被派遣者は、本プログラム(短期派遣)によって、9日間にわたりUniversity of CAMBRIDGE、University of OXFORD、University of BONNを訪れ、各大学でシンポジウムに参加した。被派遣者自身もポスター発表を行った。短期間で複数の研究機関を訪れる事によって、各研究機関の特色や研究環境の違いを実感する事ができた。ポスター発表では自身の研究内容を世界に発信するとともに、現地の大学院生と議論、交流を深める事ができた。被派遣者にとって、これが海外で研究発表を行う初めての機会であり、非常に良い経験となった。また、本シンポジウムには薬学系研究科の様々な研究室・学年の学生が参加した。派遣期間中に研究室の垣根を超えて、自身と異なる分野の研究を行っている学生と議論、交流を深められたのも有意義だった。
 最後に、本シンポジウム参加によって多くの刺激を受けるとともに、自身の研究を見直す良い機会となった。このような機会を与えて下さった組織的な若手研究者等海外派遣プログラムに心から感謝する。

宮沢 英延(遺伝学教室・修士課程2年)

 本海外派遣プログラム(短期)により、被派遣者・宮沢英延は東大薬学系研究科主催「組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウム」に参加するため、University of CAMVRIDGE, University of OXFORD, University of BONNの3つの大学を訪問した。
 宮沢英延は、哺乳類妊娠中期胚で生じるエネルギー代謝状態に着目しており、この時期のマウス胚において生じるエネルギー代謝状態の変化、およびその意義を明らかにすることを目的に研究を進めてきた。今回のシンポジウムには、生物系から有機系にわたる幅広い分野の研究者が参加していた。そのためセッションでは、自分の研究分野の話はもちろんのこと、普段聞くことができないような分野の研究の話を聞くこともでき、非常に貴重な経験となった。また、宮沢英延は今回のシンポジウムでポスター発表を行い、そういった様々なバックグラウンドを持った研究者たちと活発なディスカッションを行うことで、今後自身の研究を進めていくにあたって非常に有用な情報・アドバイスを得ることが出来た。修士課程2年という早い段階から、このように海外で自身の研究成果を発表し、様々な研究者とディスカッションする機会を得ることが出来たことは、今後研究者として世界の舞台に立つにあたって必ず生きてくる経験であると確信している。
 また、今回のシンポジウムでは研究発表を聞くだけではなく、それぞれの大学の研究室を見学することも出来た。一週間という短期間の間に海外の様々な研究室を見学するということは、めったに出来ない経験であり、非常に貴重な体験であった。様々な研究室を回ることで、研究室雰囲気はもちろんのこと、研究室の運営スタイルの違いなども知ることができ、非常に良い刺激を得た。
 以上シンポジウムでの活動を通じて、被派遣者・宮沢英延は様々な人々から多くの刺激をえることができた。その結果、研究者を目指す気持ちは今までより一層大きくなっており、このことからも、今回のシンポジウムは自身にとって非常に有用なものであったと確信している。

関根 悠介(細胞情学教室・助教)

 組織若手海外派遣ヨーロッパシンポジウムに参加し、ケンブリッジ大学ではポスター発表、ボン大学では約20分の口頭発表ならびにポスター発表を行った。ケンブリッジ大学でのシンポジウムでは、直近のNatureに掲載されていた、抗酸化タンパク質ペルオキシレドキシンの概日リズムによる制御の話など、最新の興味深いトピックを聞くことが出来た。ポスター発表では、ケンブリッジの同世代の研究者とディスカッションすることができ、大変刺激になった。シンポジウム後には、小胞体ストレス研究で世界的に有名なDavid Ron博士に研究室を案内して頂き、海外での研究生活の様子を垣間見ることができた。オックスフォード大学SGCでは、最先端のタンパク質構造研究の発表を聞き、一分子の構造にとどまらず、タンパク質ファミリー全体を通した構造の比較解析から明らかとなる知見の重要性を認識した。ボン大学では、初めての海外口頭発表を経験することができた。質疑応答において貴重な意見を聞くこともでき、非常に有意義であった。今回のシンポジウムツアーでは、ヨーロッパの伝統と趣を味わいながら、最先端の生命科学研究にたっぷりと触れることができ、これまでにない貴重な体験となった。

山口 奈美子(細胞情報学教室・博士課程1年)

 私は6月6日?6月14日の間、ケンブリッジ・オクスフォード・ボンの各大学で行われたシンンポジウムツアーに参加し、ポスター発表を行いました。本シンポジウムには有機化学、分析化学、分子生物学などの幅広い分野の研究者が参加されており、私自身の専門の枠を超えた様々な知識を得ることができました。また、オクスフォード大での発表時には、私自身が研究対象としている分子・SOD1の立体構造に詳しい研究員の方が聞きに来てくださり、多くのsuggestionをいただくことができました。
 SOD1はALS(筋萎縮性側索硬化症)という神経変性疾患の原因遺伝子の1つであり、家族性ALSの原因として最大の割合を占めます。現在までに132種類のもの遺伝子変異が報告されており、私たちはそのほとんどがERAD(小胞体関連分解)の構成因子の1つであるDerlin-1と結合し、小胞体ストレスを介して運動神経細胞死を引き起こす、という共通の機構を持つことを報告しています。ALSは発症後1?5年で死に至る非常に重篤な疾患であるにも関わらず、現在までに病態分子メカニズムに基づく根本的な治療法が開発されておりません。そこで私は、変異型SOD1?Derlin-1の結合阻害を標的とした治療薬の開発に取り組んでおり、その現状と課題をポスターにまとめました。直接にALSの研究に取り組んでいる方はいらっしゃいませんでしたが、アルツハイマー病や筋ジストロフィーのような他の神経変性疾患の研究をされている方からは、私と同じような行き詰まりや問題を抱えているというお話をうかがい、とても励みになりました。また、SOD1は凝集しやすいタンパク質であり扱いにくいため、私自身ではその構造解析にほとんど手を付けられずにいましたが、前述の研究員の方にいただいたアドバイスをもとに、今後は少しずつ解析を進めていきたいと考えています。
 今回のシンポジウムは私にとって初めての海外渡航でしたが、先生方のご支援のおかげで内容の濃い発表・議論を行うことができ、とても充実した9日間となりました。また、本シンポジウムへの参加にあたり「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」のご支援をいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。今回学んだことを活かし、より一層研究に励んでいきたいと考えております。引率してくださった先生方、プログラム関係者のみなさま、本当にどうもありがとうございました。

金丸 雄祐(細胞情報学教室・修士課程2年)

 私は、本海外派遣プログラムにより支援いただき、東大薬学系研究科主催の「組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウム」に参加し、ポスター発表を行いました。このシンポジウムではケンブリッジ大学、オックスフォード大学、ボン大学の三大学を順番に訪問し、訪問先の研究機関と東京大学でシンポジウムを行うという内容であったため、通常の一カ所に集まる形のシンポジウムと異なり、より密接に他大学の先生方や学生と交流ができたように感じました。また、それぞれの大学の雰囲気や特徴を肌で感じることができ、とても良い経験になったと思います。シンポジウムには薬学系研究科の中でも様々な分野の研究室が参加していることもあり、専門である分子生物学の内容だけではなく、有機合成から分子構造解析まで様々な話を聞くことができ、知見を広げるとともに良い刺激になりました。また、自身のポスター発表に関しても数多くの研究者から貴重な意見をいただくことができました。専門的視点からのディスカッションはもちろん、異なる分野の違う角度からの質問討論は、自分の研究の進め方や新たな可能性を考えるきっかけとなったと思います。今回のシンポジウムで数多くの同年代の研究者とふれあい、自身の研究をアピールできたことは研究を進める上での自信になり、これからの研究へのモチベーションを高めることができました。今回の経験を生かし、今後の成果につなげたいと思います。最後に、このような貴重な機会をいただいた「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」および関係者の方々に深く感謝申し上げます。

冨田 拓哉(蛋白質代謝学教室・修士課程2年)

  私は平成24年6月 6日より9日間、東大薬学系研究科主催「組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウム」においてケンブリッジ大学、オクスフォード大学及びボン大学を訪問しました。三ヶ所ともに、各大学を代表する著名な研究者の講演を聞いたほか、ポスターセッションでも多くの参加者との交流がありました。有機合成から生化学に至るまで薬学全体に渡る広い分野を対象としたシンポジウムであったため、普段なかなか触れることのないデータを見る良い機会ともなりました。
      私はボン大学にて遺伝子改変マウスの作製・解析についてのポスター発表を行い、海外の学生とマウス作製過程の細かなテクニックについて情報交換をすることが出来ました。またディスカッションを通して今後のマウス解析方法のアイディアも生まれ、非常に有意義なシンポジウムとなりました。
 並んで行われたキャンパスツアー・ラボツアーでは海外の研究室の雰囲気を肌で感じました。建物内外に空間的な余裕があり、日差しを多く取り入れているためか全体的に物理的に明るい印象を受けました。一度の派遣で海外三大学を巡るという貴重な機会に感謝するとともに、この経験をこれからの研究活動に活かせるよう精進して行きたいです。

大手 友貴(蛋白質代謝学教室・修士課程1年)

私は、今回の組織的若手海外派遣プログラムにより、University of CAMBRIDGE, University of OXFORD, University of BONNの3大学でのシンポジウムに参加させていただいた。その中で学んだことを述べたいと思う。 今回のシンポジウムでは一流の研究者による口頭発表、そこで行われる質疑応答、またポスターセッションを通してのディスカッションの機会が多く得られた。これらの経験を通して、私が一番感じたことは”伝える”ことの重要性である。いかによい研究をしたからといってその意義を伝えられなければ自己満足に終わり、評価はされない。今回のすばらしい機会を通じて”伝える”ということに関して必要な要素を3つ見出した。
 1つ目は英語力である。これはいうまでもなく、様々な機会で指摘されることである。しかし、英語力の重要性はシンポジウムだけでなく、海外にいくということだけでも感じられた。たとえば外食の際やホテルでのチェックインの際にも英語が通じること自体が非常にありがたいことであった。このことが「英語でコミュニケーションできないといけない」という意識から「英語でコミュニケーションできることがありがたいこと」という意識に変えた。
 2つ目は自信である。発表者が堂々としているとプレゼンの雰囲気も発表者のペースになり、オーディエンスも話に入り込んでいきやすい。また意義を伝えるという点でも自信を感じさせることが必要条件となるように感じた。
 3つ目は幅広い知識である。オーディエンスは必ずしも同じバックグラウンドを持っているわけではなく、むしろ異分野から来ている人の割合が多い場合もある。その中で行われる質疑応答、ディスカッションは多くの分野にまたがったものとなる。このときにお互いの知識、知恵を伝え合い、ディスカッションの内容を深められるか、利用できるかは、常日頃から様々な話題に目を向けておき、一つの事実に多くの事象を関連づけられるかに依るものだと感じた。 優れた研究というものはその内容だけでなく、それをいかに伝えるかが非常に重要であることを学んだが、これからは上の3つの点を意識しつつ、再び研究を続けていきたいと思う。
 最後にこのような貴重な機会を与えてくださった関係者の皆様に心より感謝させていただきます。

寺井 琢也(薬品代謝化学教室・助教)

 平成24年6月6日から6月14日まで、東大薬学系研究科主催「組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウム」に参加する機会を得た。具体的には、まず7日にイギリスのCambridge大学を訪問し、IMS(institute of metabolic science)と東大の研究者によるシンポジウムを拝聴した。先方からはCambridgeでの学生生活についても説明がなされ、collegeシステムを初めとする伝統的な教育体系を保つ一方で、大学院生の約半数を海外から受け入れて分野融合的な研究を促進する先端的な姿勢も見て取れた。ポスター発表の後にはラボ見学の機会も設けられ、私はdepartment of chemistryの施設を見学した。研究設備自体は日本のものと大差なかったが、広いラボで多国籍の学生が働いている姿は印象的だった。更に幸運なことに、大学院生の案内によってcollegeの内部(通常非公開)を見学する機会も与えられた。数百年の歴史を持つ建物と入念に整備された芝生は伝統の重みを物語っており、過去の英知の蓄積の結果として現在のscienceが存在することを肌で実感させられた。8日にはOxford大学でのシンポジウムが行われ、SGC(structural genomics consortium)および東大の研究者によるプレゼンテーションを拝聴した。SGCはタンパク質の立体構造解析では世界をリードする機関であり、ヒト膜タンパク質の結晶化を始めとする目覚しい成果の一端を垣間見ることができたのは貴重な経験であった。ヨーロッパ大陸への移動の後、11日にはBonn大学でのシンポジウムが開催された。ドイツの薬学部ではmedicinal chemistryやシグナル伝達関係など東大の薬学部でも馴染み深い分野の研究が行われているようで、興味深い発表が多かった。ここでは私も”luminescent probes for biochemical screening”と題して30分の口頭発表を行う機会を得た。生物系の研究者が多い中での発表であったため、基本的なところから話を始めるよう努力した。拙い発表ではあったが、何人かの参加者からは質問も出たので多少は興味を持って頂けたものと信じている。最終日の12日には薬学部の見学も行い、ドイツの薬学教育に関して学ぶこともできた。一週間で3大学の訪問という慌しい日程ではあったが、通常の学会参加では得られない貴重な体験が多く、海外での研究や大学生活に関する知見を広げることができた。

平林 和久(薬品代謝化学教室・博士課程2年)

 私は、組織的な若手研究者等海外派遣プログラムにより支援を頂き、東大薬学系研究科主催「組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウム」に参加しました。本シンポジウムでは、University of CAMBRIDGE、University of OXFORD、University of BONNの3つの大学において、生命科学に関連する幅広い分野の講演、ポスター発表が行われました。有機合成の研究から、細胞のシグナル伝達に関する研究まで様々な講演があり、日頃触れることの少ない分野の研究が多かったため、非常に興味深く、有意義なものでした。また、ポスター発表では主に同年代の学生がその研究成果を発表しており、議論を通してお互いによい刺激を受けることができたと思います。
私はUniversity of CAMBRIDGEとUniversity of BONNにおいて「Development of an off-on fluorescence probe for selective labeling of proteins based on hexahistidine tag」という題でポスター発表を行いました。英会話に苦手意識もありましたが、海外の研究者との英語での交流という貴重な機会を活かそうと思い、特に2回目の発表となったUniversity of BONNでは自身から積極的にプレゼンを行うことができました。様々なバックグラウンドを持つ研究者から様々な質問を受け、それに答えるというのも、本シンポジウムならではの良い経験になったと思います。また、これら2つの大学においてはラボツアーも行われ、私は有機系のラボを見学しました。ラボが広いなどの違いはありましたが、使用している分析装置のシステムが自身が使っているものと同じであるなどの小さな発見もありました。このポスター発表、ラボツアーを通して、母国や使用する言語が違っても、同じ科学を扱い、皆同じように真剣に研究に取り組んでいるということを極めて強く再認識することができました。
最後になりましたが、今回このような貴重な機会を与えていただきました、本プログラムおよび関係者の方々に心より御礼申し上げます。

明珍 琢也(薬品代謝化学教室・博士課程2年)

 私は平成24年6月6日より6月14日まで組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウムに参加させて頂いた。このシンポジウムはUniversity of CAMBRIDGE, University of OXFORD, University of BONNの3つの大学で行われ、私はその中でUniversity of OXFORD, University of BONNの2か所で”Development of a fluorescence probe with cell-permeability activity induced specifically by matrix metalloproteinase.”という発表タイトルでポスターにて研究発表を行った。
 今回のシンポジウムでは、東京大学大学院薬学系研究科の先生方と受け入れ先の大学の先生方が交互に講演を行い、学生がポスター発表を行うというスタイルであった。そのため、通常の専門性の高い学会の発表とは異なり、薬学や医学という大きな括りの中で様々な専門の先生方の講演を一度に聴講することができ、自らの視野を大きく広げることができる有意義なシンポジウムであった。特に、本学の様々な先生方の英語による講演を聴講できる機会は非常に貴重な機会であり、先生方の国際的な発表の場における威風堂々たる発表を数多く体感できたことは非常に刺激的であり有意義であった。
 また、本シンポジウムには各大学での研究室の見学がプログラムに組み込まれており、実際に海外の研究施設の空気を直に体験できる貴重な体験であった。大学院における学生やポスドクの研究スタイル等、日本との共通点や異なる点が感じられ、またヨーロッパの中でも各大学においてそれぞれの校風が感じられた。今回得られた経験は今後留学等をする場合、大いに参考にしたいと考えている。
 組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウムに参加させて頂き、非常に貴重な経験ができた。この経験を今後の研究生活に活かして、より一層研究に邁進したいと考えている。最後になるが、本シンポジウムに参加させて頂いたことに対して、そして本シンポジウムの企画、遂行に御尽力下さった先生方に心より感謝申し上げます。

大戸 梅治(蛋白構造生物学教室・助教)

 今回,2012年6月6日から14日の計9日間の日程で,組織的な若手研究者等海外派遣プログラムの援助を受け,東大薬学系研究科主催「組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウム」に参加しました。私は,7日にケンブリッジ大学で行われたInstitute of Metabolic Science (IMS),Cambridge Institute for Medical Research (CIMR),そして東大薬学部によるジョイントシンポジウムにおいて口頭発表を行った。英語での口頭発表は初めてで非常に緊張したが,とても良い経験となった。また,ケンブリッジ大学の他に,オックスフォード大学やボン大学へも訪問する機会を得て,それぞれの大学におけるシンポジウムは非常に有意義なものとなりました。いずれの国も場所も初めて訪れる場所で,食事や街の様子なども非常に新鮮なものでした。このような貴重な機会を与えていただきました本海外派遣プログラムおよび関係者の方々に、心より御礼申し上げます。

鈴木 浩典(蛋白構造生物学教室・特任研究員)

 私は、本海外派遣プログラムの支援により開催されたヨーロッパシンポジウムに参加、ポスター発表しました。イギリス(ケンブリッジ、オックスフォード)およびドイツ(ボン)を短期間のうちにまわる日程面でのハードさはあったものの、開催されたシンポジウムでは普段あまりなじみのない分子生物学・細胞生物学などに関するトピックを聞くことができ、非常に有意義なものでした。
 ポスター発表をケンブリッジ、オックスフォードの2箇所で行ないましたが、両地域はX線結晶学、構造生物学のメッカとも言うべき場所であり、自身のこれまでの研究成果および今後の展開について、同じ分野の研究者と意見交換をすることができた。オックスフォードSGCでは、対象サンプルの特性、発現系など、研究を進める上でのcriteriaを研究所として設定しており、効率よく研究を進める工夫がなされているように感じた。自身もある種の基準を持って実験を行なっているが、今回得た情報を今後の研究活動に活かしていきたいと思う。
 ボン大学Biomedical centerおよびケンブリッジMRC分子生物学研究所を見学することができた。よく言われていることであるが、研究室間の壁がないに等しく、ディスカッションなどを容易に行なえるような雰囲気を感じた。テクニカル部門が充実しており、使用頻度の高い試薬類は準備しておいてくれること、様々な機器類が共通で利用可能なことで、テンポよく研究が進められるように思った。
 最後にこのような機会を与えていただいた本プログラムおよび関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

Atmika Paudel(微生物薬品化学教室・博士課程3年)

The Symposium tour to Europe was very exciting. First, we visited the University of Cambridge, where we visited the medical research center, metabolic research laboratories at the university hospital. We attended some talks and had poster presentation. We could get an overview about how research and studies at university of Cambridge is at current. I presented my poster to young researchers. We could have idea exchanges and discussions that were fruitful.
Next we visited the University of Oxford. We attended several lectures about the ongoing researches and I was quite fascinated about the way they were making effort to contribute to other researchers as well as to the general public round the globe. I had my poster presentation at Oxford too, and I could have discussions with a lot of people, all of them seem quite interested and encouraged and suggested me several aspects.
Then we visited to Bonn University. We attended some talks and most of them were quite informative. A foreign student advisor also gave a presentation to explain how is the lifestyle of foreign students at Bonn University. We had poster presentation and I was the audience this time. I discussed with many presenters about their research projects and learned many things.
Overall, the trip was quite fruitful to broaden the scientific horizon. I really appreciate the organizing committee and look forward for such academic programs in the future to come.

Su Jie(微生物薬品化学教室・博士課程2年)

I attended the ‘Program for Young Researcher Symposium in Europe’ supported by Graduate School of Pharmaceutical Sciences,U-Tokyo in June. This symposium tour was organized by Prof.Ichijo and total attendants reached 52 including professors, assistant professors and students. We visited University of Cambridge, University of Oxford and University of Bonn in order within 9 days.
First, we arrived in University of Cambridge and attended the joint International Symposium. The oral speakers talked about their specific research topic in pharmaceutical field and got many comments from audiences. After one student deputy from University of Cambridge introduced his colorful graduate student life, I was shocked by their high efficiency in work with high outputting paper within short working time. During poster session, I communicated with the local students and exchanged our opinion about the academic research. Then Prof D Rubinsztein guided us to visited Institute of Metabolic Science and Cambridge Institute for Medical Research.
University of Oxford as the second symposium place is located in a beautiful small town. Oral presentation topics were mainly focused on the cell signaling and protein structure. Since students from University of Oxford were active to ask questions, I got many good comments on my research in poster session.
At last, we joined the International Workshop on Pharmacology and Pharmaceutical Sciences in University of Bonn. Professors gave their passionate speech and students exhibited their research in poster session. After that, we are guided to visit the Life & Brain Center and Biomedical Center. A student guide introduced us some advanced equipment and showed their study environment.
This European symposium tour gave me a chance to visit other famous universities and know their excellent young researchers activated in pharmaceutical science, also spurred me to reconsider my academic life. It was no doubt a good academic experience for me.

中川 高之(分子薬物動態学教室・修士課程2年)

 海外での学会・シンポジウムは初めてだったのでとても緊張しましたが、海外の学生、教授陣の質の高い発表や議論は自分自身の研究意識において、たいへん刺激になりました。特に海外研究者はプレゼンの仕方が非常に上手く、自分のプレゼン技術との圧倒的な差を痛感させられました。見習うべき点がたくさんあったので、今後積極的に活用していきたいです。  他の研究生の前でポスター発表等を行うことも初めての経験でしたが、自分の研究と関連する分野の同士と研究について語り合えることはとても楽しく、刺激的でした。自分の研究に関心を持ってくれた海外研究生に英語で説明して内容を理解してもらえた時の喜びは非常に大きかったです。
 ラボツアーでは海外の有力研究施設がどのような研究環境で仕事をしているのか知ることができて大変勉強になりました。自分の興味のある循環器疾患研究分野の研究施設では最新鋭の研究設備が整えられていて、自分もいつかそのような研究施設に留学しに行きたいと思いました。 今回このようなツアーを多額の費用を大学に出していただきながら、行かせていただくことができて大変感謝しています。今回の経験は自分にとって欠けがいのない財産となりました。この経験を活かして、国際競争力の高い有能な研究者を目指して日々精進していきたいと思います。

石川 大介(薬品作用学教室・博士課程2年)

 初めてのイギリス・ドイツ出張であった。全体として一つ一つのイベントに際し用意された時間は短かったが、当初の目的であった現地の学生との研究に関する活発な議論や交流は達成できた。また、ホスト側の大学のラボツアーや大学街のツアー、学食の提供など、至れり尽くせりな計らいの甲斐もあって、シンポジウム以外の時間も非常に有意義に過ごすことができた。さらに、外部からの入学であったため研究科内の交友関係が希薄であったが、多くの戦友との交流やコラボレーションのきっかけ作りは、今後の研究を進める上で糧になった。
 研究に関するポスター発表では、他分野の研究者にいかに効率的かつ的確に言葉を選んで説明することが難しいかを痛感させられた。本シンポジウムでは、生物系・有機化学系を含めた分野の研究者が一堂に会し、英語で発表がなされた。そのため、相手に一から十まで理解させるのに十分なコミュニケーションを取ることができなかった。今後は、相手の理解度に合わせて説明することが課題であると感じた。普段めったに会話することのない他学年の学生やほぼ卒業発表でしか交わすことのない他研究室の教授・准教授と議論を交わすことができたことは、非常に貴重な体験であった。また、今回異分野ながら私の研究に興味を持って話を聴きに来てくれた、同研究科並びにホスト側の学生のことは忘れることはないであろう。
 シンポジウムにおける口頭発表では、他の研究領域の最先端のトピックを聞くことができ、短時間に凝縮されていて勉強になった。また、普段の研究生活では、閉じた環境で同分野の研究に触れることが多くなってしまいがちであるが、視野が狭まり凝り固まってしまいがちな頭を柔軟にしてくれるような、他研究室の刺激的なトークを聞くことができた。他の研究領域であることもあり、短時間で十分にトピックの重要なポイントがつかめなかった分、質問が的確にできなかったことが悔やまれる。
 シンポジウム後の自由時間では、他研究室の教授・准教授の輪の中に加えていただき、日常の何気ない会話から研究や進路の話まで、濃密な時間を過ごすことができた。また先生方が現在抱えておられる苦労話やこれまでの軌跡を垣間見ることができ、より身近な存在に感じることができた。また、他の研究室の学生の輪の中にも加えていただき、研究室での人間関係や研究を進める上でのエッセンスなど、研究室の枠を越えて共通した苦悩や苦労話、またそれらの克服談を共有でき、貴重な研究仲間を得ることができた。

野中 綾子(薬品作用学教室・博士課程2年)

 私は平成24年6月6日から14日まで、本派遣プログラムによりケンブリッジ大学、オックスフォード大学(イギリス)、およびボン大学(ドイツ)にて開催されたシンポジウムに参加しました。
 本シンポジウムでは、薬学系研究科の多くの研究室から学生が派遣されたこと、複数の大学でシンポジウムが行われたことなどから、様々な分野の研究発表に触れることができました。私はケンブリッジ大学とオックスフォード大学において自身の研究についてポスター発表をする機会をいただきました。本研究は記憶形成のメカニズムに迫ることを目的とした研究です。やや異色な研究かと思いましたが、本学学生にも相手校の方々にも興味を持って見にきてくださる方がおり、楽しい時間を過ごすことができました。発表を通し、分野外の人に興味を持ってもらうような説明をするための英語力の不足、能力の不足を痛感するとともに、その楽しさも感じることができました。
 聴衆としては、普段の研究生活では神経科学にばかり触れているため、本シンポジウムで専門外の分野の最新の知見を見聞きすることは、非常に新鮮で刺激的でした。特にポスター発表では基本的な質問にも丁寧に答えていただき、本学学生、相手校の方問わず、交流を深めることができました。  ケンブリッジ大学とボン大学では研究室見学もさせていただき、興味深く拝見しました。
 本シンポジウムは、自分の研究をいかに面白くするか、その面白さをいかに世界に伝えるか、今後どのように研究生活を進めるか、をあらためて考える良いきっかけとなりました。
 最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださった本派遣プログラムに厚く御礼申し上げます。

佐々木 朝輝(臨床薬学教室・博士課程2年)

 今回の組織的若手海外派遣ヨーロッパシンポジウムは、通常の学会とは違い、様々な大学と密に交流することができた。
 特に勉強になったところは、ラボツアーでラボを見学し海外の大学の研究の実際を知ることができたことである。ケンブリッジ大学のラボは、各ラボの実験プラッツが1つの大きな部屋に並んでおり、ラボ間の壁がないのが特徴的であった。各ラボ間の会話・やり取りがしやすくお互いの向上をはかれており素晴らしいと感じた。また、ボン大学のラボは、居室と実験スペースが完全に分かれておりその間の通路には、カフェなどディスカッションができるようになっていた。海外の大学では、研究者・学生間の交流をより大切にするような習慣があり、開放的な構造の建物がその傾向を示していると感じた。
 このような先端の研究施設だけではなく、ケンブリッジ大学では歴史あるクライストカレッジ等の建物(右の写真)や、ワトソンとクリックが『DNAは2重らせん構造である』ということを研究した研究小屋。バーのような伝統的な建物・街並みまで、新旧の建物がうまく溶け込んでおり大学の歴史を感じた。ケンブリッジ大学の先生に案内していただき交流を深めつつ詳しく説明していただけて良かった。
 また、本シンポジウムでは分野の偏りがなく生物学から有機化学まで様々な分野のポスターが発表されており、様々な分野のポスターを学ぶことができた。普段の研究生活ではなかなか得られない発想・着眼点を得ることができた。自分のポスターについても、普段の学会で質問されるようなところではなく別の観点からの鋭い質問であり、自分の研究の補うべきところが新たに発見できた。
 今回のシンポジウムは、新たな発見の連続でとても有意義で楽しむことができた。
   

大泉 寛明(臨床薬学教室・博士課程1年)

 本シンポジウムにおけるポスター発表(於オックスフォード大学) 発生期における運動ニューロンの生存性、および神経筋接合部形成についての研究発表をした。進行性に運動ニューロンの脱落が生じる難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の研究をしている現地の研究者と、発生期の運動ニューロン生存性とALSとの関連について議論した。その他、実験技術に関しての質問や、シナプス活動とニューロン生存性について議論した。
 ボン大学でのポスター発表で、細胞周期をin vivoでモニターする手法について、神経細胞分化の観点から現地の学生と議論した。
ケンブリッジ大学にてアルツハイマー病の研究者であるPeter Hyslop博士の講演を受講した。アルツハイマー病発症にかかわると考えられるg-secretase複合体の単粒子解析による構造解析の最近の知見は非常に興味深かった。その後、Hyslop博士らと夕食を共にし、交流を深めた。
 

石塚 芙実(臨床分子解析学教室・修士課程1年)

 私は組織的な若手研究者等海外派遣プログラムのご支援を受けて、イギリスのケンブリッジ大学、オックスフォード大学、ドイツのボン大学にて開催されたシンポジウムに参加し、海外の著名な先生のご講演のみならず博士課程の学生を始めとする若手研究者の発表も聞くことができました。自分の専門分野以外の講演も聞く機会を持て、非常に良い刺激となりました。また、オックスフォード大学では私自身がポスター発表を行いました。発表時間は1時間程度と短い時間でしたが、国内だけでなく海外の研究者と活発な議論を交わすことができ、充実したポスター発表となりました。また、今後の研究において非常に有意義なアイデアをいただくことができました。修士課程1年目にして、このように海外の研究者と直接ディスカッションするという非常に貴重な体験ができ大変勉強になりました。この経験を生かし、グローバルな視点を持ち、より一層充実した研究ができるように励みたいと思います。最後になりましたが、このような貴重な経験を与えて下さいました、本プログラムの関係者の皆様に心より感謝致します。

山中 洋介(医薬品評価科学講座・修士課程2年)

 今回、私は組織的若手派遣シンポジウムツアーに参加し、ケンブリッジ大学にて日米欧間のドラッグラグに関する研究発表を行いました。ドラッグラグに関する本発表は、当プログラムにおいて唯一の社会科学分野に属する研究であり、基礎研究に携わる方々が多い中で性質を異にするものでした。そのため、基礎研究の視点や、外国の研究者の視点から、ドラッグラグに関する意見や質問を頂くことができ、新しい気づきを得ることができました。また、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学で行われたそれぞれの講演の中で、Wellcome Trustと大学との提携に関して知ることができました。Wellcome Trustとは、イギリスを拠点とする、医学研究支援等を目的とする公益信託団体です。イギリスにおける医薬研究の発展の背景には、このような大学・企業を橋渡しする存在があるということを、実際に目にすることが出来たのは貴重な経験でした。ここで得た感覚は、直接現地に赴かなければ得られないものだったと思います。また、ボン大学において、ドイツ人の学生と英語学習に関して話をすることができ、言語の重要性を再認識することができました。また、ケンブリッジ、オックスフォード、ボンという場所を肌で感じることが出来たのも、自らの視野を広げる上で大きな収穫となりました。
 このツアーを通じて、自分の研究に対する新しい気づきや、実感に基づいた視点を得ることができました。これらは、今後の研究に深みをもたせる上で活きてくると感じております。最後になりましたが、3つの大学を連続して訪問するという、大変貴重な機会を下さったプログラム関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。