6.社会環境応答の神経メカニズム
(古藤 日子・前助教研究チーム(現・産業総合研究所>詳細な説明へのリンクはComing soon!)

 複雑な社会性を営む生物にとって、周囲の物理的環境や同じ社会に属する他個体との相互作用により自身の行動を柔軟に変化させ立ち振る舞うことはその生存に必須である。しかしながら、その一連の行動基盤を制御する神経メカニズムは未だ不明な点が多い。我々は、社会性昆虫であるアリが生来備える高度な社会性行動に着目し、個体間相互作用、及び環境要因に基づき各個体の社会性行動が柔軟に制御されるメカニズムを明らかにすることを目指す。アリやミツバチといった社会性昆虫は集団(コロニー)を作り、様々な階級(カースト)を備えた分業体制によって社会生活を営む。その大きな特徴として集団内に女王アリ、雄アリに加え、生殖能力を持たない非生殖階層を備えた社会性構造を持つことが挙げられる。さらに、非生殖カーストの大半を占める労働アリには高度な労働分化が存在する。労働分化状態を規定する要因の一つとして、労働アリの仕事内容は日齢に伴い変化することが知られている。若い個体は幼虫に餌を与える育児、巣作り、女王の世話といった巣中での内勤労働(nurse)に従事し、日齢が進むにつれ餌取りなどの外勤労働(forager)へと移行する。外勤労働アリが得た餌は栄養交換(trophallaxis)によって同じコロニーに所属する個体間で共有される。各個体の栄養状態や行動様式は所属するコロニーの社会環境に依存することが知られており、コロニーの状態に応じて労働アリはその行動を柔軟に変化させる。我々は個体バーコードを用いた行動解析システム、生理機能解析、及び網羅的遺伝子発現解析を組み合わせることにより、アリの社会環境に依存した柔軟な生存戦略機構を分子遺伝学的に解明することを目指している。


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References
Koto, A., Mersch, D., Hollisand, B., Keller, L.: Social isolation causes mortality by disrupting energy homeostasis in ants. Behavioral Ecology and Sociobiology, 10.1007/s00265-014-1869-6, 2015

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