自己点検・評価

臨床薬学教室の前身である機能病態学寄付講座の設立から丸10年が過ぎ、「神経変性疾患の病理形態学を物質的に理解する」という当初の研究目標は徐々にではあるが達成されはじめている。当面の最大の課題は、競争の激しいアルツハイマー病、パーキンソン病研究の分野において、重要性が高くかつオリジナリティーに富む課題をいかに発掘し、解決してゆくかということに尽きる。今回挙げた成果の中には、新規蛋白CLACの同定、リン酸化a-synuclein蓄積の発見、g-secretase形成機構の解明など、重要な結果が多かったことは評価できる。しかし神経変性研究の領域では、近接したテーマで世界中の研究室と鎬を削ることが多い状況下で、重要研究事項を迅速に解決し、その成果のとりまとめをより速やかに行ってゆくことも課題である。アルツハイマー病に関わる専門的な内容を題材としながら、研究全般に通用する基礎的な考え方と手法を大学院学生に体得させ、幅広い分野で活躍できる疾患基礎研究者として育成してゆくためには何が必要なのか、模索が続いているのが現状であるが、研究の目標、各人に要求される達成事項を明確に示すとともに、綿密な個別指導を怠らず、レベルの高い研究を大学院生各員に遂行させることがその出発点と認識している。また入室者の増加により、現在スタッフ3名に加えて学生総数は20名を越える状況となっており、十分な教育、指導体勢を確保することに腐心している。