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東京大学大学院 薬学系研究科
生理化学教室

Gタンパク質を介した小胞体からのコラーゲン分泌機構

コラーゲン分子は複雑な折りたたみ機構によって合成されますが、その輸送も他のタンパク質と比べて特殊であることが知られています。 コラーゲンは小胞体で合成されますが、その形成する複合体が非常に巨大なため、一般のタンパク質輸送に関与する分泌小胞には入りきれないと 考えられています。しかし、どのようなメカニズムでコラーゲン分子の分泌が担われているかは未解明です。当研究室では、コラーゲン分子の輸送に 関与するタンパク質として新たにcTAGE5を見出し、この因子が小胞体から分泌小胞が出芽する領域であるER Exit siteに特異的に局在化している ことを見出しました(図8)。また、cTAGE5はコラーゲン分泌に関わることが最近報告された因子TANGO1と直接結合し、協調的にコラーゲン輸送を 担っていることが考えられました。cTAGE5/TANGO1複合体は、分泌小胞の形成を司る因子であるSec23/24とも直接結合することから、コラーゲン分子 の積み荷受容体として機能することが考えられました。

図8 コラーゲン輸送を担う積み荷受容体cTAGE5/TANGO1複合体

一方で、分泌小胞の小胞体からの出芽はArfファミリーに属する低分子量Gタンパク質であるSar1が制御していることは既に知られています。 最近当研究室では、Sar1のグアニンヌクレオチドの活性化型への交換を促進する因子であるSec12が、cTAGE5と協調的にはたらくことで、 コラーゲンの輸送を制御している可能性を見出しています。このことはコラーゲン分泌の際に、低分子量Gタンパク質Sar1の活性化状態が、 より厳密に制御されていることを示唆しています。現在、当研究室ではSar1とcTAGE5/TANGO1複合体がどのように協力的に作用することで コラーゲン輸送を担っているのか、その分子メカニズムをさらに解析しております。