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Plk4の自己組織化特性による中心小体複製の制御機構の解明

中心小体はタンパク質の複合体から形成される非膜系の細胞小器官であり、動物細胞における中心体や繊毛・鞭毛の形成に必要とされます。中心小体を核として形成された中心体は、微小管形成中心として細胞分裂や細胞内極性の形成に重要な働きをしています。中心小体の複製はDNAと同様に一細胞周期に一度だけ起こり、母中心小体の隣に一つだけ娘中心小体が形成されます。中心小体の消失や過剰な複製は、小頭症や癌の悪性化などヒト疾患の原因の一つとされており、適切な細胞の機能を保証するために中心小体の複製は厳格に制御されなければなりません。しかしながら、中心小体のコピー数を制御する基本原理は未解明のままでした。

今回、本研究グループはPolo like kinase 4(Plk4)の自己組織化特性が中心小体のコピー数を制御することを解明しました。Plk4は中心小体の複製に必須のキナーゼであることが知られていましたが、Plk4がどのように中心小体のコピー数を制御しているのかは明らかになっていませんでした。本研究によりPlk4は自身の天然変性領域を介して自己凝集し、液-液相分離を起こす特性をもつことが明らかになりました。さらにPlk4は自己リン酸化によって自己凝集体の物性を制御することがわかりました。このPlk4の特異的な物性により、新たに形成される中心小体の形成起点が一箇所に限定されることを明らかにしました。さらに、Plk4の過剰な自己凝集は中心小体の過剰な複製を誘導し、細胞分裂の異常を引き起こしました。本研究成果は癌の悪性化などの疾患の原因解明に役立つと期待されます。