26Sプロテアソームは分子量2.5MDaの巨大な複合体であり調節因子19S複合体とタンパク質分解の活性中心を持つ20Sプロテアソームからなっている。20Sプロテアソームはそれぞれ7種の相同なαサブユニット(α1-7)とβサブユニット(β1-7)の14種のサブユニットから形成され、19S複合体は少なくとも19種類のサブユニット(Rpt1-6、Rpn1-3, 5-13, 15)からなり生化学的にbaseとlidに大別される。これまで、プロテアソームがどのように形成されるのかほとんどわかっていなかったが我々はプロテアソーム形成に関わるシャペロン分子を同定した。
20Sプロテアソームの形成過程では、PAC1/PAC2 (Nature 2005)、PAC3/PAC4 (Mol Cell 2006)がそれぞれヘテロ2量体を形成し、αリングの形成に関わっていることを明らかにした。また、βリングの形成開始にはUmp1が必須の働きを果たし、決まった順番でβサブユニットが1つずつ会合しβリングを形成することがわかった (EMBO 2008)(図1)。さらに、出芽酵母におけるPAC3/PAC4と機能が相同と思われるDmp1/Dmp2 (Nat. Struct Mol. Biol 2008) を単離し解析を行っている (図2)。
19S複合体にも20Sプロテアソームのようにシャペロン分子が存在するか不明であったが、我々はp28(Gankyrin) 、p27、S5b、Rpn14(PAAF1)が19S複合体形成においてシャペロンとして機能することを見出した(Cell 2009)。p28とRpn14はRpt3とRpt6と、S5bはRpt1とRpt2とRpn1と、p27はRpt4とRpt5とそれぞれサブアセンブリを形成し、p28-Rpn14-Rpt3-Rpt6とS5b-Rpt1-Rpt2-Rpn1が会合し、継いでp27-Rpt4-Rpt5が組み込まれることにより19S複合体のbaseが形成され、この過程において4つのシャペロン分子がサブアセンブリ同士の会合を制御することを明らかとした (図3)。

図1:20Sプロテアソームの形成過程。PAC1/2とPAC3/4の2つのシャペロン複合体の助けを借りてαリングが形成され、その上にβリングが決まった順序で結合していく。PAC3/4はβサブユニットがαリング上に結合する途中でプロテアソーム前駆体から解離する。PAC1/2は形成された20Sプロテアソームによって分解される。

図2:出芽酵母Dmp1/Dmp2とヒトPAC3ホモダイマーの立体構造
いずれも20Sプロテアソームの形成に関わるシャペロン分子であることが分かっている。
アミノ酸の一次配列は保存されていないにもかかわらず立体構造は良く保存されていた。

図3:19S複合体の形成過程。Baseサブユニットが特定のサブユニットとシャペロンと共にサブアセンブリを形成し、それらが順次会合していく。
プロテアソーム形成促進因子PACはこちらにも出てきます。