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ユビキチンシステムによる細胞内タンパク質品質管理機構の解明

research 4.jpg 私たちの身体を構成する成分として、水以外で最大のものがタンパク質です(60〜70%が水、約20%がタンパク質)。実際、タンパク質は酵素や身体を形作る役割をはじめとして、生体反応において幅広い役割を果たしています。タンパク質は、mRNAの情報に基づきリボソームにおいて20種類のアミノ酸がひも状につなぎ合わされることにより合成されます。この「ひも」が正しく折り畳まれることではじめて機能を発揮できる構造をとります。
 新しく合成されるタンパク質の相当量(10-30%の報告ありが)が正常な折り畳みに失敗し不良品となると推定されています。また、正常に折り畳まれたタンパク質であっても、構造異常を引き起こす細胞内外のストレス(熱、UV、低酸素、活性酸素など)に絶えず曝されています。しかし、これら正しい構造をとれなくなったタンパク質は細胞内にはほとんど検出されません。それは、「タンパク質品質管理機構」が働いているからです。ユビキチン・プロテアソーム系はタンパク質品質管理機構の大きな装置の一つであり、不良タンパク質を発見して分解・除去することにより細胞内に蓄積することを防いでいます。
 このタンパク質品質管理機構の処理能力を超える量の不良タンパク質が細胞内で産生されると、特に神経細胞においてタンパク質凝集体が形成されるととも、神経細胞死が引き起こされ、神経変性疾患(パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病など)を発症する要因となります。また、不良タンパク質の産生量が正常であってもタンパク質品質管理機構の能力が低下すると神経変性を起こしやすくなります。
 ユビキチンシステムとプロテアソームが不良タンパク質の除去に重要な役割を果たしていることは分かっているものの、どのように不良タンパク質を正常なタンパク質と識別して前者だけを分解に導いているのか、いまだ解明されていません。細胞内で生じた不良タンパク質がいかにして分解されるのか、その分子機構の解明を目指します。