G-UmedaNoguchi G

丸山Jグルー2012

メンバー:
 丸山順一(特任研究員)、Ran Cheng(UC Berkley 短期留学生 [5-8月])

 テーマ:
 私達は,遺伝性高血圧発症に関与するWNK4-SPAK/OSR1経路の新たな制御機構の解析に取り組んでいます。
 WNK4は遺伝性高血圧疾患である偽性低アルドステロン症II型 (Pseudohypoaldosteronism type II; PHAII) の原因遺伝子として報告されたプロテインキナーゼです。PHAII変異型WNK4は下流のSPAK/OSR1-NCCシグナル経路を異常に活性化させ,腎臓尿細管におけるNCCを介したNaCl再吸収を亢進させることで高血圧病態を引き起こすことが明らかにされています [1]。また,SPAK/OSR1-NCCシグナル経路の活性化状態が食塩摂取量に伴って変化することから,WNK4-SPAK/OSR1-NCCシグナル経路が生理的な血圧制御機構にも関与する可能性が示唆されています [2]。しかしながら, WNK4-SPAK/OSR1シグナル経路の活性制御機構は殆ど明らかにされていません。
 私達はASK1と高い相同性を持つキナーゼであるASK3の解析過程で,WNK4をASK3結合分子として同定しました。そして,WNK4がASK3との共発現によりリン酸化されることを見出し, LC-MS解析によりこれまでに報告のない新規のリン酸化部位を同定することに成功しました。この結果は,リン酸化を介した新たなWNK4制御機構の存在を示唆しているものと考えられます。そこで現在,このリン酸化がWNK4に及ぼす影響について,SPAK/OSR1経路活性化能に注目して解析を進めています。

 一言:
 人数は少ないですが,小粒でも存在感のある研究を目指し日々奮闘しています。

 文献:
[1] Yang et al. Cell Metabolism 5 (2007). 331-44.
[2] Chiga et al. Kidney Int. 74 (2008). 1403-9.