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教室紹介

薬科学 - 有機薬科学

研究科長・学部長 浦野 泰照
副研究科長 後藤 由季子
副研究科長 富田 泰輔
教育研究評議員 後藤 由季子
 
 
(2024.12.1現在)
◎:薬科学専攻長
:薬学専攻長
各教室のホームページは各教室の責任で運営されています。
 

薬化学

https://yakka.f.u-tokyo.ac.jp/
教授:大和田 智彦
准教授:尾谷 優子

新しい有機分子構造が生み出す化学や機能を探求しサイエンスとしての一般性を追求する

研究課題
  1. 特異な構造特性を持つ分子の合成と応用(アミドの化学,水中で安定ならせん分子の合成,機能性NOドナーの合成)
  2. 陽イオン中間体(ジカチオン)の化学:多官能基化された芳香族化合物の合成への応用
  3. 特徴ある機能(生物活性等)を持つ有機分子の設計・合成・構造の研究:膜タンパク質の機能をコントロールするモデル分子のデザインと合成と機能;創薬へのインパクト
  4. 理論計算を活用する構造化学・反応機構の解析・機能分子や生物活性物質の理論的な構造設計と機能予測,分子の動的挙動の解明、生物活性分子の設計

 薬化学教室の研究目標は、新しい分子構造に由来する新しい化学現象の発見と機能ある物質の創製の融合化学(インテグレーション)の構築である。特にアミド及び関連官能基の非平面化を中心とする有機構造化学を基礎に置いた有機構造論の展開と機能性物質の合成を中心課題としている。つまり分子の構造(形)が,化学反応性、結合特性、構造特性、生物活性などの物質の機能にどのような影響を与えるかの原理を追求するとともに,その原理を利用して機能の最適化や新しい機能を化学合成によって創造することである。私たちは常に「なぜ」そうなるのかという疑問を持ち、現象の単なる羅列を超えた概念の獲得に魅力を感じている。一方で私たちの3次元構造の認識力や電子構造に対する想像力には限界があるため,理論計算化学を利用した計算実験にも積極的に取り組み、実験結果と組み合わせて私たちの新しい化学概念の獲得に活用している。
水中でも安定に存在するペプチド結合を持つヘリックス分子を作る
水中でも安定に存在するペプチド結合を持つヘリックス分子を作る 
生体内分子を超越した有機分子を創製して、免疫制御の仕組みの解明に貢献しつつ創薬につながるモデル分子を提案する
生体内分子を超越した有機分子を創製して、免疫制御の仕組みの解明に貢献しつつ創薬につながるモデル分子を提案する 

天然物合成化学

https://inoue.f.u-tokyo.ac.jp
教授:井上 将行
准教授:伊藤 寛晃
助教:萩原 浩一
特任助教:藤野 遥

生物活性天然物の全合成から展開する科学

研究課題
  1. 全合成のための新しい反応・合成法・戦略の開発
  2. 生物活性天然物の全合成研究
  3. イオンチャネル形成分子の合成・機能研究
  4. 抗菌分子の合成・機能研究
  5. 天然物の構造と機能をモチーフとした新機能分子の創出

 当教室での研究基盤分子は、タンパク質などの生体高分子に強力に作用する極性官能基が密集した天然物と、生体高分子そのものの機能をもちうる巨大ペプチド系天然物です。タンパク質などの生体高分子に比べ分子量が圧倒的に小さい生物活性天然物は、多様な環状構造や官能基をもつことで、その機能情報を高密度に集積しています。一方、その構造は最適・最小化されており、部分構造の欠如は、しばしば劇的な機能低下につながります。つまり天然物を、医薬や生物機能制御物質として応用するためには、その三次元的原子配列を完全に再現(全合成)する必要があります。しかし、強力な機能を持つ極性官能基密集型天然物や巨大ペプチドの全合成には、現在でも一般的な方法論が存在しません。我々は、このような高機能天然物の全合成の高度一般化のための反応・合成法・戦略の開発に取り組んでいます。さらに、自由自在に三次元構造を操れる有機合成化学を武器に、天然物が持たない化学的性質を付与した新機能分子や小型化されたタンパク質の創出を目指します。
官能基密集型天然物の全合成
官能基密集型天然物の全合成 
生物活性ペプチド天然物の全合成と機能解析
生物活性ペプチド天然物の全合成と機能解析 

有機合成化学

https://gousei.f.u-tokyo.ac.jp
教授:金井 求
准教授:川島 茂裕
助教:三ツ沼 治信・山梨 祐輝
 

触媒開発に基づき、分子、機能、秩序の合成をめざす

研究課題
  1. 複雑分子の全合成を革新しうる触媒反応開発
  2. 触媒開発を基盤とするClean, Robust, Concise 分子合成
  3. 触媒開発を基盤とした新エネルギー社会への貢献
  4. 触媒反応開発を基盤とした新コンセプトからの創薬

 分子をデザインし合成できる有機合成化学のcreativity を最大限に発揮して、(1)分子をつくる、(2)機能をつくる、(3)秩序をつくる、の3領域の研究を進めていきます。不可能を可能とするぎりぎりの最先端研究を目指し、10~20年の時間軸を見据えた骨太の研究をおこないたいと考えています。
1、分子をつくる:触媒反応開発の立場から、分子合成をクリーンでRobust(=力強い)かつ短工程化していきたいと考えています。独自の合成法を鍵とする、オリジナリティの高い革新的complex molecule synthesis に取り組みます。
2、機能をつくる:新触媒反応開発により未知の可能性を持つ分子群の入手を容易とし、これを用いた新コンセプトからの医薬リードの創出に取り組みます。また水素や酸素といった入手容易な低分子を、合成素子およびエネルギー素子として有効に活用する触媒開発にも取り組む予定です。
3、秩序をつくる:触媒反応開発を基盤として、複雑系からの分子秩序の創発、さらには分子システムの治療応用を検討していきます。
 
化学触媒によるヒストンの人工アシル化反応と転写活性化
化学触媒によるヒストンの人工アシル化反応と転写活性化 
化学触媒による凝集Aβの酸素化反応と無毒化
化学触媒による凝集Aβの酸素化反応と無毒化 

天然物化学

https://tennen.f.u-tokyo.ac.jp/head.htm
教授:阿部 郁朗
准教授:森 貴裕
助教:牛丸 理一郎
特任助教:水谷 拓

生合成システムの合理的デザインにより、新規有用物質生産系を構築する

研究課題
  1. 天然物生合成(遺伝子探索、機構解析、生合成工学、合成生物学)
  2. 二次代謝酵素(反応機構解明、構造機能解析、触媒機能改変)
  3. 生物活性物質の探索と単離構造決定

 有機化学を基盤とした、生命現象の解明とその人為的な制御に関する研究は、ポストゲノムの時代にあって、今後ますます飛躍的な発展が期待されます。一方、今後の医薬資源の開発について考えた場合、多様性に富む化合物群をいかに効率良く生産し、創薬シードとして提供できるか、が鍵になります。私たちの研究室では、上記研究課題を中心に、今後の医薬資源研究をリードする、ケミカルバイオロジー領域の研究に日夜挑戦しています。研究手法としては、基質やプローブの合成、単離構造決定など、低分子化合物の取り扱いから、遺伝子操作、酵素タンパクの結晶化や変異酵素の作成に至るまで、幅広い知識と技術を習得することができます。有機化学を基盤としながら、生化学、分子生物学、構造生物学、物理分析化学、さらには、醗酵工学や代謝工学に至るまで、多領域の学問分野の手法を取り入れています。
天然物生合成の分子レベルでの解明から、新たな物質生産への応用へ
天然物生合成の分子レベルでの解明から、新たな物質生産への応用へ 
単純な開始物質から多様な複雑骨格天然物が合成される仕組みの解明
単純な開始物質から多様な複雑骨格天然物が合成される仕組みの解明 

基礎有機化学

https://kisoyuki.f.u-tokyo.ac.jp
教授:内山 真伸
特任准教授:中島 誠也
講師:鳥海 尚之
助教:永島 佑貴
特任助教:松山 太郎
 

原子・電子レベルで現象を理解し、分子の自在構築によって物質を科学する

研究課題
  1. 分子の構造・結合・芳香族性・動きに関する研究
  2. 結合を自在に操る新反応開発
  3. 光を操る理論化学・合成化学
  4. 生命の起源と物質の進化に関する研究                        
 基礎有機化学教室では、1)物質の性質・現象を分子・原子・電子といった“化学の言葉”として理解する、2)原子どうしの結合を自在に操る反応を開発する、3)機能ある物質をつくりだす ことを目指し、日々研究を行っています。
 分子レベルでの「ものづくり」は現代社会を支えるキーサイエンスの一つです。私たちの研究室では、1 mの1/10億(ナノメートル;nm)以下という小さな小さな分子を緻密に設計し、合成する技術の開発に取り組んでいます。また、そのためにはこの小さな世界での「できごと」を正確に探る必要があります。ここで有効になるのが、「計算化学・理論化学」であり、「物理化学・分光学」です。最近の分光学・理論計算の進歩によって、物質を形成する電子の状態や、分子が反応するスナップショットを正確に予測・再現できることがわかってきました。合成化学・分光学・理論計算の3つの手法を柱として、分野横断型の化学を展開し、生命現象の解明・新たな物質科学の創出に挑んでいます。 
 
計算化学・理論化学を基盤とした新反応開発・物質創製(Chemistry A European Journal の表紙に採用)
計算化学・理論化学を基盤とした新反応開発・物質創製(Chemistry A European Journal の表紙に採用) 
基礎有機化学・元素化学で切り拓く生命科学・物質科学
基礎有機化学・元素化学で切り拓く生命科学・物質科学 

薬用植物化学・附属薬用植物園

https://shokubutsuen.f.u-tokyo.ac.jp/
教授(兼):阿部 郁朗

古くて新しい薬“薬用植物(生薬)”を総合的に解析し、新たな利用法を開発する(附属薬用植物園)

研究課題
  1. 薬用植物の栽培と組織培養
  2. 植物組織培養技術を利用した有用二次代謝産物の生産
  3. 植物由来生物活性物質の化学と生合成

 人類にとっての薬は有史以前から主として植物が用いられ、長い間の試行錯誤(人体実験)により淘汰され、残ったのが現在の生薬と考えることができる。近年、抗生物質や生物製剤の割合が増えてきてはいるが、植物由来の医薬品の重要性が減るものではなく、新たな医薬品としてタキソールやビンブラスチンなどが発見されている。このように、薬用資源としての植物の研究はすでに完結したものではなく、未だ発展途上である。
 薬学系研究科附属薬用植物園は検見川総合運動場に隣接しており、昭和48年に正式に設置された。当時移植した苗木たちも大きく成長し、園内を囲むように鬱蒼と茂っている。
 本郷の研究室では植物組織培養技術を利用した有用二次代謝産物の生産に関する研究(培養細胞の誘導から物質生産まで)を行っている。現在進行中の研究課題としては、カヤ、スギなどの裸子植物培養細胞のジテルペン成分の生合成、トリカブト培養組織によるジテルペンアルカロイドの生産と生合成、オリーブ培養細胞によるフェニルエタノイドの生産と生合成、エジプト産薬用植物の生物活性成分の組織培養による生産などがある。
第1温室(検見川)
第1温室(検見川) 
ウラルカンゾウ(Glycyrrhiza uralensis Fisher) 根およびストロンに甘味物質glycyrrhizinが含まれる
ウラルカンゾウ(Glycyrrhiza uralensis Fisher) 根およびストロンに甘味物質glycyrrhizinが含まれる 


東京大学

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