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教室紹介

薬学 - 医療薬学

研究科長・学部長 浦野 泰照
副研究科長 後藤 由季子
副研究科長 富田 泰輔
教育研究評議員 後藤 由季子
 
 
(2025.5.1現在)
:薬科学専攻長
:薬学専攻長
各教室のホームページは各教室の責任で運営されています。
 

分子薬物動態学

https://dotai.f.u-tokyo.ac.jp
教授:楠原 洋之
准教授:林 久允
助教:水野 忠快
特任助教:橋本 芳樹

薬物分子の体内動態を解明し、安全な医薬品のデザインと医薬品適正使用に貢献する

研究課題
  1. 薬物の体内動態及び薬効の試験管レベルから個体レベルへの再構築
  2. 薬物の消化管吸収・肝臓/腎臓などクリアランス臓器・血液脳関門など関門組織における薬物輸送の分子機構の解明
  3. 薬物の肝胆系輸送および消化管吸収の定量的予測に資する新規実験ツールの開拓・予測法の開発
  4. 薬物相互作用の発現リスク予測法の開発
  5. 小児肝臓難病の病態解明、診断・治療法の開発に関する研究
  6. 生命科学データの潜在表現の理解と活用

 薬物による効果や副作用を予測するためには、薬物分子の体内での動きを知ることが必須です。しかし、薬物は様々な物性を持っているために、一概にそれらの動きを説明することはできません。私たちは、これらの薬物を細胞内へ取り込んだり排出する働きを持つ、薬物トランスポーター群の性質を知ることで、薬物がどのような動態特性を示すのか予測できるのではないかと考えています。薬物速度論、生化学的および分子生物学的手法といった様々な手法を用いて、肝臓、腎臓、小腸および脳における薬物トランスポーターの解析を行っています。また、薬物の効き方には個人差があることが知られています。上記の研究を通して、私たちはこの個人差に薬物トランスポーターが大きく関与していること、また他の薬との相互作用の原因になることも見出してきました。こうした研究は、最終的に副作用を最小限に抑え、薬効を最大限に引き出すことのできる医薬品の開発、使用法の確立につながるものであり、テーラーメード医療時代を見据えた重要な研究領域であると自負しています。
生体内の主要な異物排泄臓器である肝臓と腎臓には、種々トランスポーターが発現していることが明らかにされてきた。その中には基質選択性の似たものもあり、こうしたトランスポーターを利用することで、医薬品の体内動態特性を最適化できると考えている。図には、薬効標的を同じくするものの、体内動態特性を最適化することで、個人差を小さくすることに成功した医薬品の例を示した。
生体内の主要な異物排泄臓器である肝臓と腎臓には、種々トランスポーターが発現していることが明らかにされてきた。その中には基質選択性の似たものもあり、こうしたトランスポーターを利用することで、医薬品の体内動態特性を最適化できると考えている。図には、薬効標的を同じくするものの、体内動態特性を最適化することで、個人差を小さくすることに成功した医薬品の例を示した。 
肝胆系輸送のhigh throughput screeningシステムとして、肝臓への取り込みと胆汁中への排泄を行う2つのトランスポーターを一つの極性細胞に発現させた(ダブルトランスフェクタント)。ダブルトランスフェクタントでは胆汁排泄に対応する方向性のある経細胞輸送(ベクトル輸送)が観察される。生体内では、脳や腎臓においても、このように複数のトランスポーターが機能的に協関することで、効率的な異物排泄システムを形成している。
肝胆系輸送のhigh throughput screeningシステムとして、肝臓への取り込みと胆汁中への排泄を行う2つのトランスポーターを一つの極性細胞に発現させた(ダブルトランスフェクタント)。ダブルトランスフェクタントでは胆汁排泄に対応する方向性のある経細胞輸送(ベクトル輸送)が観察される。生体内では、脳や腎臓においても、このように複数のトランスポーターが機能的に協関することで、効率的な異物排泄システムを形成している。 

薬品作用学

http://www.yakusaku.jp/
教授:池谷 裕二
准教授:中嶋 藍
助教:松本 信圭
特任助教:鹿島 哲彦

薬を使って脳を究める(分子から個体まで、ミクロの解像度でマクロに解析する)

研究課題
  1. 学習・情動・社会性に関与する神経回路の解析
  2. 多ニューロン記録による神経回路の作動原理の研究
  3. 嗅覚神経の回路形成のメカニズムの探索
  4. 人工知能を用いた脳の新機能開拓

 薬理学は「薬の生体に対する作用解明」と「疾病治療薬の開発方法を探る」を二本柱とした、文字通り"薬を理解する学問"です。分子レベルから全身動物までの幅広い知識と高度な技術を駆使して、研究を進めています。
 私たちの研究室では「記憶や情動に深く関係する大脳辺縁系や大脳皮質の役割」を研究しています。とくに、海馬体の機能的役割や扁桃体による調節機構に興味をもち、電気生理学・光生理学・行動薬理学・組織化学・分子生物学などのさまざまな実験技法を応用しながら、科学的難題に立ち向かっています。最初期遺伝子の発現を指標に、神経活動の履歴解析にも取り組んでいます。異種シナプス間の相互作用、スパイク列の時空間的解析、うつ病、てんかんや脳血管障害などとの関連解析などマクロ的視点に立った解析が特徴です。
 脳が高次機能を発揮するためには、機能的神経ネットワークがバランスよく活動することが必須ですが、そのメカニズムはいまだ神秘のベールに包まれています。私たちは最先端のイメージング技術を利用して、ニューロン一個一個の解像度を保ちながら、ネットワーク内のニューロン活動を記録することに成功しました(図1)。スパイク列の時空パターンを解析することにより、構造と機能の解析に取り組んでいます。軸索の伸長やシナブス形成機構についても研究を進め、さまざまな調節機構を明らかにしています(図2)。これらの発見は将来の再生医療にも重要な知見となります。
 
図1 海馬ニューロンが活動する様子をリアルタイムで捉えました
図1 海馬ニューロンが活動する様子をリアルタイムで捉えました 
図2  神経線維を可視化して軸索ガイダンスを解析しています
図2  神経線維を可視化して軸索ガイダンスを解析しています 

機能病態学

https://neuropsc.f.u-tokyo.ac.jp
教授:富田 泰輔
客員教授:鳥居 慎一
准教授:堀 由起子
助教:高鳥 翔・木村 妙子
 

神経精神疾患の分子病態解明から治療薬開発の糸口を、そして同時に新しい基礎研究分野を切り拓く

研究課題
  1.  Aβ代謝メカニズム(産生、分泌、分解)とその制御の研究
  2.  Aβ蓄積後に生じる細胞病態の理解と診断法開発
  3. 患者脳に蓄積するアミロイド形成機構解明と制御
  4. アルツハイマー病におけるミクログリアの病的機能解明 
  5. パーキンソン病の分子病態メカニズム解明 
  6. αシヌクレイン蓄積病態伝播機構の解明
  7. 神経細胞シナプス接着分子の代謝メカニズムと機能
  8. 認知症予防運動プログラムの開発
 機能病態学教室では、疾患基礎研究を通じて治療・予防・診断法の開発につながる発見を目指すと同時に、新しい基礎研究分野を開拓することを目標として研究を行っています。特にアルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症・統合失調症など神経精神疾患に関連して、発症原因・メカニズムを分子レベルで明らかにし、新たな創薬標的分子機構の同定につなげていこうと考えています。そして同時に、その過程で明らかになる基礎生物学的な発見についても興味を持って研究を深めていきます。異常な状態を知るためには、正常な状態を知らねばならないし、その逆もまた然りです。このサイクルが疾患基礎研究と基礎生物学の根幹をなしていて、その結果お互いの裾野を拡げ、新たな生物学が切り拓かれてきたと考えています。私達は有機化学研究者、構造生物学研究者、臨床医学研究者、製薬企業などとの共同研究も積極的に行い、それぞれの分野での研究展開をお互いに学んで視野を広げながら、マルチディシプリナリーな疾患基礎研究を展開していこうとしています。
 
アルツハイマー病の発症に関わるアミロイドβ代謝システム
アルツハイマー病の発症に関わるアミロイドβ代謝システム 
アルツハイマー病モ デルマウスにおけるアミロイドβ蓄積抑制因子の解析
アルツハイマー病モ デルマウスにおけるアミロイドβ蓄積抑制因子の解析 

(病院)臨床薬物動態学

http://plaza.umin.ac.jp/~todaiyak/
教授:高田 龍平
講師:山梨 義英・池淵 祐樹

各生体分子の機能が集積・統合されたシステムとして生体を理解し、次世代の創薬手法を確立する (薬剤部)

研究課題
  1. 脂質・胆汁酸・尿酸などの生体内輸送を制御する分子メカニズムを解明し、それらの統合的理解に基づく生活習慣病治療法の確立を目指した研究
  2. 骨吸収・骨形成に関わるシグナル分子の動的制御メカニズムを解明し、それらの統合的理解に基づく骨代謝疾患治療法の確立を目指した研究
  3. 創薬段階で意図しなかった分子に対する作用を包括的に考慮した、分子標的抗がん剤の薬理・毒性発現メカニズムの定量的理解と、臨床応用および新規創薬手法の確立を目指した研究
  4. 大規模オミクス解析を用いて、薬物の副作用発現に関わる分子メカニズムを解明し、それらの定量的な理解に基づく副作用発現の予防・治療法の確立を目指した研究
  5. 薬物の体内動態に関連する分子機能の精密な定量化に基づく臨床薬理動態学研究

 これまでの生命科学においては、生体を構成する各種要素を分子レベルまで細分化して機能を明らかにしていけば、生命活動の全貌を理解することに繋がると考えられてきました。しかしながら、ゲノム解読以降の膨大な情報が蓄積してくるにつれて、各生体要素の分子レベルでの機能と、生命活動全体において果たしている機能の関係は、単純な一対一対応では理解できないことが判ってきました。例えれば、車の重要な部品と思われるあるネジがあったとして、その部品のネジとしての機能だけを詳細に調べても、車全体におけるその部品の役割は明らかにならないことに似ています。やはり、数多くの部品がどのように組み上がって全体を構成し、各部品がその中のどこに位置してどの程度機能し、全体としてどのように動作しているのかを明らかにする必要があり、これがすなわち生命活動を「システムとして理解」することに対応していると言えます。薬剤部では、より確実で効率的な次世代の創薬手法を実現するためには、生体をシステム的に理解することが必要不可欠であると考えています。創薬標的になり得る複数の候補分子の中から、最も効果的な標的分子を同定する、あるいは創薬段階の初期において、発現しうる副作用を包括的に予測するなど、現在では未だ解決困難な問題点に関して、システム薬理学の手法を用いて解決することを目指して研究を展開しています。

 

 

(医科研)幹細胞制御創薬

教授:西村 栄美

幹細胞の制御とその破綻の仕組みの解明から 疾患治療薬の開発へ

研究課題
  1. 組織幹細胞の自己複製と品質管理の仕組みの解明
  2. 組織、臓器、個体の老化と加齢関連疾患発症の仕組みの解明
  3. 幹細胞制御技術による疾患治療薬の開発
                            
 わたくしたちの体を構成する組織や臓器の多くが組織幹細胞システムを形成し、その恒常性を保っています。組織幹細胞は、組織の再生など恒常性を維持する上で基幹となる細胞集団ですが、加齢やさまざまな環境ストレスによって次第に変容を遂げ、癌を含む多くの加齢性疾患の発症へと繋がります。私たちは、加齢性疾患の制御においては、その発症に至る老化プロセスと仕組みを明らかにし、そのネックになるイベント、標的とすべき細胞集団や分子の探索が不可欠であり、新しい創薬につながると考えています。個体と外界との境界面でバリアとして機能する上皮組織は、生体を様々な微生物、紫外線などの環境ストレスや外傷から守っています。私たちは、これまでに皮膚の組織幹細胞を複数同定し、その自己複製能と分化能を示し、加齢やストレスによってその生体内での制御が変容し続けること、その機能や組織の自然治癒力(回復力)が低下することを明らかにしてきました。さらに組織幹細胞は、組織の再生と修復のみならず、老化や癌化においても基幹となる細胞集団であり、その微小環境と共に、加齢関連疾患の発症に大きく関わっています。当研究室では、幹細胞の自己複製と品質管理の仕組みの解明を中心に、皮膚の1細胞オミクス解析、上皮オルガノイドや生体内での幹細胞の運命追跡、周辺細胞との相互作用の解析などを駆使して、その破綻の仕組みと疾患の発症原理の解明を行なっています。さらにその成果をもとに幹細胞を標的とする幹細胞制御技術を開発しており、細胞の移植や細胞培養液などは使用せずに、組織の再生、炎症、老化の制御を可能とする物質を探索しオルガノイドや疾患モデル動物での評価を行っています。脱毛症や褥瘡(圧迫性潰瘍)を含む加齢性疾患の治療薬をベンチャーとの共同研究で開発しています。学内外からの大学院生を歓迎しています。https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/agingregeneration/ 

(寄付講座)育薬学

https://lab.ikuyaku-ut.jp/
客員教授:澤田 康文
准教授(兼):佐藤 宏樹
 

医薬品ライフタイムマネジメント -よい薬を創って、ただしく使って、じょうずに育てる-

研究課題
  1. 高効率な市販後情報収集システムの持続的推進
  2. 医薬品に関連するトラブルの予測と製品進化に関する育薬研究
  3. 一般市民を対象とした新たな市販後情報収集システム
  4. 医療・介護関係者、一般市民に対する医薬品適正使用・育薬のための教育・研修

 大学薬学部は、創薬と「医薬品適正使用・育薬(市販後に医薬品を正しく使って、うまく育てること)」を推進するという社会的使命を背負っています。育薬学寄付講座では、この世に生を受けた(開発・上市された)医薬品が、その力を十分に発揮し充実した「薬の人生」を送ることができるようにする(これを医薬品ライフタイムマネジメントという)ための様々な研究を展開しています。     
 その概要は、(Ⅰ)医療現場(薬剤師・医師・登録販売者・栄養士)、介護現場(介護・看護スタッフ、家族)、在宅(患者・家族、消費者)、製薬会社(MR、お客様窓口)、医薬品卸会社(MS)における関与者が連携した高効率な市販後情報収集システムを継続的に稼働させ、(Ⅱ)収集された事例、すなわち市販後情報のデータベース・ライブラリーを構築し、(Ⅲ)収集した市販後情報のAI・機械学習等を用いた予測解析による医薬品に関連する諸問題(副作用などの症状、使用勝手や製剤・包装のニーズ、ミス・トラブル事例など)の予測研究を行うことで、(Ⅳ)医療・介護現場での医薬品適正使用の推進、製薬会社での創薬・育薬の推進、製品の進化に資するとともに、上記関与者への医薬品適正使用・育薬のための教育・研修に活用し、さらなる育薬の推進を目指しています。
 
医薬品開発のセントラルドグマは、創薬→医薬品適正使用→育薬→創薬→・・・・・・・のサイクルである。
医薬品開発のセントラルドグマは、創薬→医薬品適正使用→育薬→創薬→・・・・・・・のサイクルである。 
薬物の胎児移行性を検討するためのヒト胎盤灌流実験法の模式図
薬物の胎児移行性を検討するためのヒト胎盤灌流実験法の模式図 


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