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2020/07/07

天然物合成化学教室の藤野遥 博士、福田卓海 大学院生、長友優典 講師、井上将行 教授が、核酸系抗生物質ヒキジマイシンの全合成に成功


天然物合成化学教室の藤野遥 博士、福田卓海 大学院生、長友優典 講師、井上将行 教授は、核酸系抗生物質ヒキジマイシンの全合成を、ほとんど先例の無い、アルデヒドへの分子間ラジカル付加反応を鍵工程として達成しました。本研究成果は、2020年7月6日付けで[Journal of the American Chemical Society]電子版に掲載されました。
 
発表論文
掲載雑誌名: Journal of the American Chemical Society
論文タイトル: Convergent Total Synthesis of Hikizimycin Enabled by Intermolecular Radical Addition to Aldehyde
著者: Haruka Fujino, Takumi Fukuda, Masanori Nagatomo, Masayuki Inoue*
DOI: 10.1021/jacs.0c06354
論文へのリンク先:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.0c06354
 
発表概要:
 ヒキジマイシン(1)は、神奈川県の引地川で採取された土壌細菌から単離された抗菌・駆虫活性を示す核酸系抗生物質です。1は全11炭素に酸素または窒素官能基が置換した直鎖構造に核酸塩基シトシンと3-デオキシ-3-アミノグルコースが縮合した他に類を見ない極めて複雑な化学構造を持ちます。
 一方で、従来アルデヒドへの分子間ラジカル付加反応は逆反応が優先するために実現困難だとされてきました。井上将行教授の研究グループは、不安定なラジカル中間体をホウ素化合物で補足する反応条件を確立し、この反応を実現しました。
 今回、本研究グループは、この独自に開発した分子間ラジカル付加反応を鍵工程として、高度に官能基化されたフラグメント同士の連結を化学・立体選択的に実現しました。その結果、余分な炭素鎖伸長や立体選択的な酸素官能基導入を回避し、標的分子ヒキジマイシン(1)の収束的全合成を短工程で達成しました(17工程)。本研究成果により、高度に極性官能基化された複雑分子構築におけるラジカル戦略および新規生物活性分子の創出のための収束的全合成戦略の有用性を実証しました。

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