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2021/07/29

天然物合成化学教室の廣瀬哲博士、渡邉歩大学院生、荻野公平修士、長友優典講師、井上将行教授が、抗HIV活性や抗鎮痛活性を有する複雑天然物群の全合成に成功


東京大学大学院薬学系研究科天然物合成化学教室の廣瀬哲博士、渡邉歩大学院生、荻野公平修士、長友優典講師、井上将行教授は、特異な抗HIV活性を示すプロストラチンや強力な鎮痛活性を有するレジニフェラトキシンなど5種類の天然物の統一的な全合成を達成しました。本研究成果は、2021年7月28日付で、化学分野の総合学術雑誌である[Journal of the American Chemical Society]電子版に掲載されました。
 
発表論文
掲載雑誌名: Journal of the American Chemical Society
論文タイトル: Unified Total Syntheses of Rhamnofolane, Tigliane, and Daphnane Diterpenoids
著者: Akira Hirose, Ayumu Watanabe, Kohei Ogino, Masanori Nagatomo, Masayuki Inoue*
DOI: 10.1021/jacs.1c06450
論文へのリンク:https://doi.org/10.1021/jacs.1c06450

発表概要:
プロストラチンやレジニフェラトキシンの類縁体は、環構造が複雑に組み合わさった5/7/6員環炭素骨格上に多数の酸素官能基を有し、6員環上の置換基構造の違いから3つのジテルペンに分類されます。これらには400以上の天然物が属し、その多くが抗ウイルス、抗がん、鎮痛、免疫調節、神経栄養、腫瘍促進などの幅広い特性を示すことから、薬理学的に有用な生物活性天然物群として注目されています。一方、これら3つの複雑な構造を持つジテルペン類の全合成には、多くの場合長大な工程数を要していました。また、構造的に密接な関係があるにもかかわらず、個々の天然物に対して個別の全合成経路を開発する必要がありました。今回、本研究グループは、新たに設計した共通中間体である高度に官能基化された3環性化合物を、分子内ラジカル付加反応を鍵として効率的に構築しました。さらに共通中間体から様々な化学・立体選択的な官能基導入による構造多様化を行うことで、プロストラチンおよびレジニフェラトキシンを含む5つの標的分子の統一的全合成を短工程で達成しました(16から20工程)。
本研究成果により、今まで存在しなかった類縁天然物の統一的な全合成経路を開発しました。今後は、これら天然物の合成による供給が可能になるだけでなく、これら合成戦略を応用展開することで、より高酸化度かつ強力な生物活性を有するジテルペン類の創出が期待されます。このような全合成研究は、稀少天然物群の未知活性の解明、様々な疾患の治療を目的とした医薬品開発および多様な生物学的機能の研究を促進します。

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