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2021/12/07

天然物合成化学教室の王瀛華博士、永井利也大学院生、渡辺樹修士、萩原浩一特任助教、井上将行教授が、多様な生物活性を有する複雑天然物であるジヒドロ-β-アガロフラン類の全合成を達成


東京大学大学院薬学系研究科天然物合成化学教室の王瀛華博士、永井利也大学院生、渡辺樹修士、萩原浩一特任助教、井上将行教授は、強力な抗HIV活性を有するオイオニミンとP糖タンパク質阻害活性を有するオイオニミノールオクタアセテートの全合成を達成しました。本研究成果は、2021年12月6日付で、化学分野の総合学術雑誌である[Journal of the American Chemical Society]電子版に掲載されました。
 
発表論文
掲載雑誌名: Journal of the American Chemical Society
論文タイトル: Total Synthesis of Euonymine and Euonyminol Octaacetate
著者: Yinghua Wang, Toshiya Nagai, Itsuki Watanabe, Koichi Hagiwara, and Masayuki Inoue*
DOI: 10.1021/jacs.1c11038
論文へのリンク:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.1c11038
 
発表概要:
ジヒドロ-β-アガロフラン類はニシキギ科の植物より単離される天然物群です。本天然物群は酸化度やアシル基の違いにより、様々な生物活性を有し、オイオニミンは強力な抗HIV活性、オイオニミノールオクタアセテートはP糖タンパク質阻害活性を示します。これらは共通の3環性骨格上に11個の連続不斉中心および9個の酸素官能基を有し、オイオニミンはピリジン環を含む14員環ビスラクトン構造を持ちます。酸素官能基が密集した骨格および14員環構造の構築は極めて困難であり、オイオニミンの全合成例はありません。
今回、本研究グループは、炭素骨格上にすべての酸素官能基を有する3環性化合物を共通中間体として設計し、分子の三次元構造を利用した立体選択的な結合形成反応を精密に組み合わせた効率的合成と、今回確立した14員環構造構築法により、オイオニミノールオクタアセテートおよび世界初のオイオニミンの不斉全合成を実現しました。
本研究成果により、14員環構造を有するジヒドロ-β-アガロフラン類の合成を初めて実現しました。今回合成した共通中間体は、すべてのヒドロキシ基が保護基および立体的環境により区別されています。今後は本中間体を用いることで、多種多様なアシル基および生物活性を有するジヒドロ-β-アガロフラン類の創出が期待されます。このような天然物合成研究は、希少天然物の未知機能の解明および天然物の構造を土台とした新規医薬品開発研究を大きく促進し、薬科学の発展に貢献できます。
 

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