メニュー

EN

トピックス

2023/09/09

東京大学大学院薬学研究科の長井広樹博士研究員、三浦正幸教授、中嶋悠一朗講師らの研究グループが、栄養環境に応答した脱分化現象を同定


 東京大学大学院薬学系研究科の長井広樹博士研究員、三浦正幸教授、中嶋悠一朗講師らの研究グループは、同大学定量生命科学研究所、北海道大学、東北大学、大阪大学と共同で、ショウジョウバエ個体が絶食から回復した際に、腸管上皮における内分泌細胞が腸管幹細胞へと脱分化を起こし、腸管サイズの適応成長を促進することを明らかにしました。また、この栄養応答型の脱分化を司るメカニズムとして、食餌中のグルコースとアミノ酸の有無に反応して内分泌細胞でJAK-STATシグナルが活性化することの重要性を明らかにしました。
本研究成果は2023年9月8日付で科学雑誌Developmental Cell(オンライン版)に掲載されました。

掲載雑誌:Developmental Cell
論文題目:Nutrient-driven dedifferentiation of enteroendocrine cells promotes adaptive intestinal growth in Drosophila
著者:Hiroki Nagai, Luis Augusto Eijy Nagai, Sohei Tasaki, Ryuichiro Nakato, Daiki Umetsu, Erina Kuranaga, Masayuki Miura, and Yu-ichiro Nakajima
DOI番号:10.1016/j.devcel.2023.08.022
論文へのリンク
https://cell.com/developmental-cell/fulltext/S1534-5807(23)00437-9
 
発表概要
 成熟した成体内の組織では、損傷や放射線照射などによって組織幹細胞が失われると、分化した細胞が幹細胞へと脱分化することで損傷再生を促進します。これまで、組織再生や組織がん化における脱分化が知られていた一方で、生物が自然界で生きていく中で起こりうる生理的な環境変動に対して脱分化が起こりうるかは不明でした。本研究では、ショウジョウバエ成虫の腸管において、蛹から羽化した直後の食餌摂取、あるいは絶食後の再摂食時に腸管幹細胞が増加することに着目し、このとき腸管内分泌細胞が栄養摂取に応答して脱分化を起こしていることを見出しました。また、脱分化由来の幹細胞を腸管から除去する実験系を構築し、脱分化が栄養摂取に応じた幹細胞数の増加と、それに続く腸管サイズの増大に必須であることを示しました。さらに、この栄養依存的な脱分化現象を誘導するメカニズムとして、食餌中のグルコースとアミノ酸量に反応してJAK-STATシグナルが腸管内分泌細胞で活性化することの重要性を解き明かしました。
 食事摂取量に対する腸管サイズの適応反応は多様な生物種で観察されており、JAK-STATシグナルは哺乳類において損傷再生時の脱分化誘導を担っています。こうした知見から、本研究で発見した栄養依存的な脱分化現象は、ショウジョウバエのみならず、哺乳類を含む進化的に保存された機構であることが期待されます。
 
プレスリリースはこちら

2025/04/30
受賞 天然物化学教室の阿部郁朗教授が、令和7年春の紫綬褒章を受章
2025/04/13
プレスリリース 野崎多実子 大学院生(研究当時)、小野田真由 大学院生、幅崎美涼 大学院生、竹内悠馬 大学院生、川島茂裕 准教授、金井求 教授らの研究グループが、ヒストンの様々な位置を選択的にアセチル化できる化学触媒の開発に成功
2025/04/07
プレスリリース 劉紫昀 大学院生(研究当時)、川島茂裕 准教授、金井求 教授らの研究グループが、Texas A&M大学 Jonathan T. Sczepanski 教授の研究グループと共同で、ヒストン修飾とDNA修復の新たな関係の解明に成功
2025/03/31
プレスリリース 基礎有機化学教室の滝谷悠太大学院生、齋藤大河大学院生、鳥海尚之講師、内山真伸教授の研究グループが、フタロシアニン類縁体の新規合成手法を開発
2025/03/26
プレスリリース ワンストップ創薬共用ファシリティセンターの岡部弘基特任准教授、京都工芸繊維大学・外間進悟助教、大阪大学・原田慶恵教授らの共同研究チームがカーボン量子ドット(CQD)を用いた新しい蛍光ナノ温度計を開発
2025/03/18
プレスリリース 有機合成化学教室の有井優 大学院生、于 宗瀚 大学院生、陳 虹宇 大学院生(研究当時)、三ツ沼治信 助教、金井求 教授らの研究グループが、石油資源アルケンから医薬品の重要構造である第三級アルコールを効率的に構築する触媒システムの開発に成功
2025/02/25
プレスリリース 定量生命科学研究所の鯨井智也 助教、越後谷健太 特任研究員、胡桃坂仁志 教授による研究グループは、本研究科分子生物学教室の岸雄介 講師(研究当時)、後藤由季子 教授とともに、がんタンパク質による遺伝子制御の仕組みを発見
2025/02/17
プレスリリース 蛋白質代謝学教室の王妍 大学院生(研究当時)、王漪 大学院生、濱崎純 講師、村田茂穂 教授らの研究グループがジストニア原因遺伝子の機能を解明
2025/02/12
プレスリリース 有機合成化学教室のBenjamin D. A. Shennan研究員、福田智之 大学院生、山根三奈 大学院生、小山喬 学部生(研究同時)、三ツ沼治信 助教、金井求 教授らの研究グループが、チロシンを選択的にリン酸化する化学触媒法(STAR反応)の開発に成功
2025/02/04
プレスリリース 生理化学教室の伊藤慶 特任研究員(研究当時)、畠星治 特任講師、北川大樹 教授らの研究グループが、中心小体の結合・分離のサイクルを解明
東京大学

東京大学 薬友会 薬学振興会
東京大学 医療イノベーションイニシアティブ
ワンストップ創薬共用ファシリティセンター 創薬機構
東大アラムナイ 東京大学基金

Copyright© 2018
東京大学大学院 薬学系研究科・薬学部
All Right Reserved.
Produced by coanet

ページの上部へ↑