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2024/04/19

基礎有機化学教室の鳥海尚之講師、内山真伸教授と東京工業大学の永島佑貴助教(本学卒業生)、田中健教授らの共同研究グループが優れた円偏光発光特性を示す3次元に共役系が広がったヘリセンの不斉合成に成功


 基礎有機化学教室の鳥海尚之講師、内山真伸教授と東京工業大学の永島佑貴助教(本学卒業生)、植草秀裕准教授、福原学准教授、田中健教授、総合科学研究機構の杉山晴紀博士らの共同研究グループは、優れた円偏光発光特性を示す、3次元に共役系が広がったヘリセンの不斉合成に成功しました。
 本研究成果は、2024年4月19日付で英国科学誌「Nature Synthesis」のオンライン速報版に公開されました。

発表論文
掲載誌 : Nature Synthesis
論文タイトル : Design and enantioselective synthesis of 3D π-extended carbohelicenes for circularly polarized luminescence
著者 : Futo Morita, Yuko Kishida, Yu Sato, Haruki Sugiyama, Masato Abekura, Juntaro Nogami, Naoyuki Toriumi, Yuki Nagashima, Tomokazu Kinoshita, Gaku Fukuhara, Masanobu Uchiyama, Hidehiro Uekusa, and Ken Tanaka*
DOI : 10.1038/s44160-024-00527-3 (External site)
 
研究発表の概要
 円偏光発光は、3Dディスプレイなどの次世代エレクトロニクス材料への応用が期待されており、高輝度円偏光発光を示すキラル有機分子の開発が望まれている。その中でも芳香環がらせん状に縮環した化合物であるヘリセンに注目が集まっている。しかし、ヘリセンはキラル有機分子の中でも比較的高い円偏光度(非対称性因子g)を示す一方、発光輝度(モル吸光係数ε、蛍光量子収率Φ)は低く、円偏光発光材料への応用の課題となっていた。そこで、本研究グループは、優れた円偏光度と発光輝度を両立させる分子群として、3次元状にπ共役系を拡張したヘリセン(3Dπ拡張ヘリセン)に着目し、その高度にゆがんだπ共役系を構築するための新たな合成法として、(1)らせん構築に有利な遷移金属触媒を用いた付加環化反応、(2)高ゆがみ構造の構築に有利な酸化的環化反応、の2種類を段階的に組み合わせる合成手法をデザインした。そして、らせん構築に不斉ニッケル触媒反応を用い、高ゆがみ構造の構築にScholl反応を用いることで、多層構造を有する3Dπ拡張ヘリセンの不斉合成を達成した。さらに、合成した分子は、キラル有機分子の中でも格段に優れた円偏光特性を示すことを見出した。
 本成果では、3Dπ拡張ヘリセンの優れた円偏光特性を実証するとともに、3Dπ拡張ヘリセンの汎用的な合成手法を開発することで、高輝度円偏光発光材料の開発のスピードアップに貢献すると期待される。
 

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