国際交流
トピックス
2025/06/17遺伝学教室の村本雅哉大学院生(研究当時)、花輪望未大学院生(研究当時)、三浦正幸教授(研究当時)、篠田夏樹助教らの研究グループが、細胞死実行因子カスパーゼの「非」細胞死性の活性化を可能とする分子機構を解明
東京大学大学院薬学系研究科遺伝学教室の村本雅哉大学院生(研究当時)、花輪望未大学院生(研究当時)、三浦正幸教授(研究当時)、篠田夏樹助教による研究グループは、広島大学の奥村美紗子准教授、千原崇裕教授と共同で、細胞死実行因子であるカスパーゼの「非」細胞死性の活性化を可能とする分子機構を明らかにしました。
掲載雑誌:eLife
論文題目:Executioner caspase is proximal to Fasciclin 3 which facilitates non-lethal activation in Drosophila olfactory receptor neurons
著者:Masaya Muramoto, Nozomi Hanawa, Misako Okumura, Takahiro Chihara, Masayuki Miura, Natsuki Shinoda
DOI番号:10.7554/eLife.99650.1
論文へのリンク
発表概要
神経系は細胞の入れ替わりをともなわずに機能的な変化を遂げることができます。これまで、細胞死実行因子として有名なシステインプロテアーゼであるカスパーゼは、細胞死を誘導することなく、神経機能の調節をはじめとする多様な細胞生理機能を制御することが報告されていました。しかし、なぜカスパーゼが細胞を殺すことなく「非」細胞死性に活性化し、その他の機能を発揮できるのか、その分子機構は未だ明らかではありませんでした。本研究では、ショウジョウバエを用いて、脳においてカスパーゼと近接して存在するタンパク質を、近接依存性標識法TurboID及び質量分析を用いて網羅的に同定しました。その結果、カスパーゼは細胞質ゾルに存在するタンパク質であるにも関わらず、近接するタンパク質として多数の形質膜タンパク質が同定されました。同定した近接タンパク質がカスパーゼの「非」細胞死性の活性化を制御する可能性を検討するため、形質膜近傍でのカスパーゼの活性化を超高感度でモニタリングするGal4-Manipulated Area Specific CaspaseTracker/CasExpress (MASCaT) システムを作出しました。MASCaTシステムを用いた解析の結果、同定した近接タンパク質の1つであり、軸索に多く存在する細胞接着因子Fasciclin 3 isoform G (Fas3G) が、その過剰発現によって「非」細胞死性にカスパーゼの活性化を引き起こすことを発見しました。この活性化は、既存のアポトーシス経路因子によって誘導されましたが、その因子は同様にFas3Gに近接することを見出しました。以上の一連の結果から、カスパーゼの活性化を細胞内の一部に区画化することが、「非」細胞死性の活性化を可能とする分子機構である可能性を示しました。また、このカスパーゼの「非」細胞死性の活性化は、嗅覚神経を殺すことなく、ショウジョウバエ個体の匂い刺激に対する誘引行動を抑制しました。神経細胞を殺すことなく行動を制御できたことから、神経機能を可逆的に変容させる新たな方法論の開発にも繋がりうる発見です。本研究成果は、2025年6月17日付で国際科学誌「eLife」誌に最終版(Version of Record)として掲載されました。
掲載雑誌:eLife
論文題目:Executioner caspase is proximal to Fasciclin 3 which facilitates non-lethal activation in Drosophila olfactory receptor neurons
著者:Masaya Muramoto, Nozomi Hanawa, Misako Okumura, Takahiro Chihara, Masayuki Miura, Natsuki Shinoda
DOI番号:10.7554/eLife.99650.1
論文へのリンク
発表概要
神経系は細胞の入れ替わりをともなわずに機能的な変化を遂げることができます。これまで、細胞死実行因子として有名なシステインプロテアーゼであるカスパーゼは、細胞死を誘導することなく、神経機能の調節をはじめとする多様な細胞生理機能を制御することが報告されていました。しかし、なぜカスパーゼが細胞を殺すことなく「非」細胞死性に活性化し、その他の機能を発揮できるのか、その分子機構は未だ明らかではありませんでした。本研究では、ショウジョウバエを用いて、脳においてカスパーゼと近接して存在するタンパク質を、近接依存性標識法TurboID及び質量分析を用いて網羅的に同定しました。その結果、カスパーゼは細胞質ゾルに存在するタンパク質であるにも関わらず、近接するタンパク質として多数の形質膜タンパク質が同定されました。同定した近接タンパク質がカスパーゼの「非」細胞死性の活性化を制御する可能性を検討するため、形質膜近傍でのカスパーゼの活性化を超高感度でモニタリングするGal4-Manipulated Area Specific CaspaseTracker/CasExpress (MASCaT) システムを作出しました。MASCaTシステムを用いた解析の結果、同定した近接タンパク質の1つであり、軸索に多く存在する細胞接着因子Fasciclin 3 isoform G (Fas3G) が、その過剰発現によって「非」細胞死性にカスパーゼの活性化を引き起こすことを発見しました。この活性化は、既存のアポトーシス経路因子によって誘導されましたが、その因子は同様にFas3Gに近接することを見出しました。以上の一連の結果から、カスパーゼの活性化を細胞内の一部に区画化することが、「非」細胞死性の活性化を可能とする分子機構である可能性を示しました。また、このカスパーゼの「非」細胞死性の活性化は、嗅覚神経を殺すことなく、ショウジョウバエ個体の匂い刺激に対する誘引行動を抑制しました。神経細胞を殺すことなく行動を制御できたことから、神経機能を可逆的に変容させる新たな方法論の開発にも繋がりうる発見です。本研究成果は、2025年6月17日付で国際科学誌「eLife」誌に最終版(Version of Record)として掲載されました。
- 2026/01/14
- プレスリリース 天然物合成化学教室の付俊豪博士、神谷光一博士、喜多村佳委博士、伊藤寛晃准教授、井上将行教授らの研究グループがヤクアミドBの2つ目の標的タンパク質としてCD9を同定
- 2026/01/13
- プレスリリース 機能病態学教室の木村妙子助教(研究当時:東京都医学総合研究所所属)、東京都医学総合研究所の長谷川成人副所長、東京都立大学の久永眞市名誉教授らの研究グループは、軽度頭部外傷を繰り返すことでタウ病理が脳内で拡大・伝播し、その進行が加速することを CHIMERA マウスモデルで解明
- 2026/01/07
- プレスリリース 天然物合成化学教室の大賀恭平大学院生、山田雄太郎大学院生、長友優典講師(研究当時)、藤野遥特任助教、井上将行教授が、クラジエリン類の網羅的全合成および構造解明を達成
- 2025/12/19
- プレスリリース 蛋白構造生物学教室の平野良憲 助教、江﨑 和貴子大学院生(研究当時)、清水敏之 教授らの研究グループが自然免疫応答を制御する一本鎖核酸分解メカニズムを解明
- 2025/12/15
- 受賞 衛生化学教室の青木淳賢教授が、2025年度の早石修記念賞を受章
- 2025/11/28
- プレスリリース 基礎有機化学教室の久保田眞嵩 大学院生(研究当時)、松山太郎 特任助教(研究当時)、内山真伸 教授らが新しいタイプのテルペン環化酵素の機能を解明
- 2025/11/27
- プレスリリース 天然物合成化学教室の高岡恭兵大学院生、松原暖大学院生、松本真那果大学院生(研究当時)、長友優典講師(研究当時)、萩原浩一助教、井上将行教授、が抗ウイルス活性を有するトリゴチェリンAおよびCの全合成を達成
- 2025/11/20
- プレスリリース 機能病態学教室が衛生化学教室、薬化学教室を含む複数グループとの共同で、アルツハイマー病の原因物質を除去する脳内免疫細胞の活性化メカニズムを解明
- 2025/11/07
- プレスリリース ATACと「技術インキュベーションにおける連携に関する基本協定書」を締結
- 2025/11/06
- プレスリリース 天然物合成化学教室の右田貴大大学院生、伊藤寛晃准教授、井上将行教授らの研究グループがアミノ酸の向きを変える新たなアプローチで抗菌ペプチドの副作用低減を実現











