国際交流
トピックス
2022/11/07植物RNA編集機構を立体構造から解明 〜制御可能な遺伝子操作技術の開発へ新しい一歩
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科の藤間祥子准教授、京都大学大学院理学研究科の竹中瑞樹 准教授、 東京大学大学院薬学系研究科の清水敏之 教授らの共同研究チームは、RNA編集酵素DYW1の結晶構造を決定し、脱アミノ化ドメインを持たないPPRタンパク質がDYW1に結合することにより機能が補われ活性を獲得することを明らかにしました。
本研究成果は2022 年 11 月 7 日付でThe Plant Cellに掲載されました。
雑誌名:The Plant Cell
論文タイトル:Structural insight into the activation of an Arabidopsis organellar C-to-U RNA editing enzyme by active site complementation
著者:Sachiko Toma-Fukai, Yuto Sawada, Ayako Maeda, Hikaru Shimizu, Toshiharu Shikanai, Mizuki Takenaka* and Toshiyuki Shimizu*
DOI番号:10.1093/plcell/koac318
陸生植物のミトコンドリアや葉緑体では、RNAのシチジン(C)からウリジン(U)への編集がおきます。このRNA編集は植物オルガネラゲノムにコードされた遺伝子が正常に機能するために必須の機構であり、これまで100を超えるPentatricopeptide repeat (PPR) タンパク質がRNA編集因子として同定されています。これらのPPRタンパク質の約半数はシチジンからウリジンへの編集活性を持つDYW脱アミノ化ドメインを持ちますが、あとの半数はこれを持ちません。このようなPPRタンパク質は、DYWドメインのみを持つDYW1様タンパク質ファミリーのいずれかと複合体を形成して機能を発揮することが示唆されていましたが、その分子メカニズムは未解明でした。
研究チームはシロイナズナDYW1の原子分解能構造決定を試み、X線結晶構造解析法を用いて分解能1.8Åで構造を決定しました。DYW1は基質結合部位が不完全にしか形成されておらず、単独では活性を持ちません。DYW1は脱アミノ化ドメインを持たないPPRタンパク質との結合により基質認識に必要なPG ボックスやループが供与され活性を獲得することを明らかにしました。
本研究で得られた結果は、DYW1のRNA編集活性化制御を応用した機構が、制御可能な遺伝子編集ツールの1つになりうることを示しています。
詳細はこちら
本研究成果は2022 年 11 月 7 日付でThe Plant Cellに掲載されました。
雑誌名:The Plant Cell
論文タイトル:Structural insight into the activation of an Arabidopsis organellar C-to-U RNA editing enzyme by active site complementation
著者:Sachiko Toma-Fukai, Yuto Sawada, Ayako Maeda, Hikaru Shimizu, Toshiharu Shikanai, Mizuki Takenaka* and Toshiyuki Shimizu*
DOI番号:10.1093/plcell/koac318
陸生植物のミトコンドリアや葉緑体では、RNAのシチジン(C)からウリジン(U)への編集がおきます。このRNA編集は植物オルガネラゲノムにコードされた遺伝子が正常に機能するために必須の機構であり、これまで100を超えるPentatricopeptide repeat (PPR) タンパク質がRNA編集因子として同定されています。これらのPPRタンパク質の約半数はシチジンからウリジンへの編集活性を持つDYW脱アミノ化ドメインを持ちますが、あとの半数はこれを持ちません。このようなPPRタンパク質は、DYWドメインのみを持つDYW1様タンパク質ファミリーのいずれかと複合体を形成して機能を発揮することが示唆されていましたが、その分子メカニズムは未解明でした。
研究チームはシロイナズナDYW1の原子分解能構造決定を試み、X線結晶構造解析法を用いて分解能1.8Åで構造を決定しました。DYW1は基質結合部位が不完全にしか形成されておらず、単独では活性を持ちません。DYW1は脱アミノ化ドメインを持たないPPRタンパク質との結合により基質認識に必要なPG ボックスやループが供与され活性を獲得することを明らかにしました。
本研究で得られた結果は、DYW1のRNA編集活性化制御を応用した機構が、制御可能な遺伝子編集ツールの1つになりうることを示しています。
詳細はこちら
- 2023/01/11
- プレスリリース 蛋白構造生物学教室の坂庭賢太郎博士、藤村亜紀子博士、大戸梅治准教授、清水敏之教授のグループが自然免疫受容体TLR3が多量体を形成して二本鎖RNAに結合した構造を解明
- 2022/12/22
- プレスリリース 天然物合成化学教室の島川典博士、中村柊大学院生、浅井響大学院生、萩原浩一特任助教、井上将行教授が、C19ジテルペンアルカロイドであるプベルリンCの全合成を達成
- 2022/12/12
- 受賞 井上将行教授が2022年度(第64回)有機合成化学協会賞を受賞
- 2022/12/05
- 受賞 生命物理化学教室の上田卓見准教授が2022年度日本核磁気共鳴学会進歩賞を受賞
- 2022/11/07
- プレスリリース 植物RNA編集機構を立体構造から解明 〜制御可能な遺伝子操作技術の開発へ新しい一歩
- 2022/11/03
- 受賞 浦野泰照教授が2022年秋の 紫綬褒章を受章
- 2022/08/05
- プレスリリース 新型コロナウイルスのウイルス形成に必須の膜タンパク質の構造を解明
- 2022/07/19
- プレスリリース 附属創薬機構の小島宏建特任教授と岡部隆義特任教授、長野哲雄名誉教授と東京慈恵会医科大学医学部の奥田賢一講師と金城雄樹主任教授らの研究グループが、黄色ブドウ球菌のバイオフィルム形成を阻害する化合物を発見
- 2022/06/09
- 受賞 第 35 回 独創性を拓く 先端技術大賞「特別賞」を受賞
- 2022/06/06
- プレスリリース 天然物合成化学教室の薛贇唯博士、伊藤寛晃助教、井上将行教授らの研究グループが、天然物グラミシジンAががん細胞の増殖を抑制する仕組みを解明