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2023/05/16

基礎有機化学教室の内山 真伸 教授らと山梨大学の佐藤 玄 助教(本学卒業生)らの共同研究グループが、理論計算を用いた強力な解析手法の開発によってテルペン系類縁天然物の難解な生合成機構の解明に成功


 基礎有機化学教室の松山 太郎 大学院生、富樫 恒 大学院生(研究当時)、内山 真伸 教授と山梨大学の佐藤 玄 助教(本学博士修了)らの共同研究グループは、生合成機構解明における強力な方法論として「逆生合成解析」という理論的手法を開発しました。本手法によって、テルペン系天然物 peniroquesine の生合成経路の全貌解明に成功しました。本研究成果は、2023年5月15日付で米国化学会誌「JACS Au」のオンライン速報版に公開されました。

発表論文
掲載雑誌名: JACS Au(オープンアクセス)
論文タイトル: Revision of Peniroquesine Biosynthetic Pathway by Retro-biosynthetic Theoretical Analysis: Ring Strain Controls the Unique Carbocation Rearrangement Cascade
著者: Taro Matsuyama, Ko Togashi, Moe Nakano, Hajime Sato,* Masanobu Uchiyama*
DOI: 10.1021/jacsau.3c00039
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研究発表の概要
 自然界から得られる多種多様な天然物は、強い薬理活性を示す医薬品として創薬研究における主要な役割を担っています。しかし、天然物が有する複雑な分子骨格は、酵素内部で多段階連続反応によって生合成されるため、その詳細な反応機構の実験的な解析は困難であり、未だに多くが謎に包まれています。今回、本研究グループは理論計算による「逆生合成解析」という新たな方法論を開発することで、テルペン系天然物である peniroquesine の難解な生合成経路を解明しました。
 天然物は非常に単純な構造を持つ炭化水素(初期物質)から多くのキラル中心を持つ複雑な骨格を持つ分子へと生合成されます。すなわち、最終生成物(天然物)は初期物質と比べて自由度が低く、配座異性体の数が極めて制限されています。本研究グループは、この特徴に注目することで、最終生成物から初期物質へと生合成経路を逆向きに解析する「逆生合成解析」という理論手法を開発しました。本手法によって理論計算を進めることで、従来想定されていた生合成機構を大幅に修正する合理的な生合成経路を明らかにしました。
 本手法は、従来法では解析困難であった様々な天然物の生合成機構解明に適用可能であると考えられます。また、本手法によって生合成機構を解き明かし、非天然物創出を含む新たな天然物化学が確立されれば、創薬研究の進展に大きく貢献できると期待されます。

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