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2023/05/22

基礎有機化学教室の内山 真伸 教授と東京工業大学の田中 健 教授らの共同研究グループが、高度にねじれた芳香族ベルト分子の合成に成功


 基礎有機化学教室の宮本 和範 准教授、内山 真伸 教授と理化学研究所の橋爪 大輔 博士、東京工業大学の田中 健 教授らの共同研究グループは、3 次元π共役分子 の中でも合成が困難とされる、複数のねじれを持つメビウス型芳香族ベルトの合成に成功しました。本研究成果は、2023年5月22日付で英国科学誌「Nature Synthesis」のオンライン速報版に公開されました。
 
発表論文
掲載雑誌名: Nature Synthesis
論文タイトル: Catalytic Stereoselective Synthesis of Doubly, Triply and Quadruply Twisted Aromatic Belts
著者: Juntaro Nogami, Daisuke Hashizume, Yuki Nagashima, Kazunori Miyamoto, Masanobu Uchiyama, Ken Tanaka
DOI: 10.1038/s44160-023-00318-2
論文へのリンクはこちら:
https://www.nature.com/articles/s44160-023-00318-2
 
研究発表の概要
 カーボンナノベルトに代表されるベルト型芳香族化合物は、芳香環の帯を環状に連結した構造の 3 次元分子である。近年では、このような芳香環の帯にねじれを加えた「ツイスト芳香環ベルト」が注目を集め、メビウスの輪のような複雑なトポロジーにも興味がもたれている。ねじれたπ電子系に起因する特有の性質(メビウス芳香族性や光学特性)の理解が進めば、機能性有機材料につながる可能性を秘めている。
 しかし、ツイスト芳香族ベルトの合成は、芳香環パーツを「ねじり」ながら環状に「曲げる」ため、非常に大きな分子歪みと困難を伴う。このような課題から、ツイスト芳香環ベルトの合成は現代の有機合成技術をもってしても難しく、合成例は極めて少ない。特に、ねじれが大きくなるほど歪みも急激に増大するため、1 回転(360 度)を超えるような大きなねじれの合成法は確立していなかった。また、ねじれの方向が右巻きか左巻きかによって、鏡像異性体が存在することも大きな構造的特徴である。このような環状のツイストキラリティは、古典的なキラリティに比べるとほとんど合成法の開発や機能解明が進んでいないのが現状である。したがって、ツイストの方向を制御する合成法の開発やキラル光学特性の解明が望まれてきた。
 今回の研究では、これまで合成が困難とされてきた多重ツイスト芳香族ベルトの合成・不斉合成を達成した。本研究が契機となり、未開拓なツイスト環状分子の構造や機能、キラリティに対する理解が今後さらに促進すると期待される。
 

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