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2022/06/06

天然物合成化学教室の薛贇唯博士、伊藤寛晃助教、井上将行教授らの研究グループが、天然物グラミシジンAががん細胞の増殖を抑制する仕組みを解明


 天然物合成化学教室の薛贇唯大学院生(研究当時)、伊藤寛晃助教、井上将行教授およびがん研究所の旦慎吾博士は、天然物グラミシジンAの構造改変と細胞内挙動解析によって、本分子がミトコンドリアに直接作用し、細胞のエネルギー産生を阻害することで、強力ながん細胞増殖抑制活性を示すことを明らかにしました。本研究成果は、2022年6月3日付で、英国王立化学会誌「Chemical Science」に掲載されました。

発表論文
掲載雑誌名:Chemical Science
論文タイトル:Gramicidin A Accumulates in Mitochondria, Reduces ATP Levels, Induces Mitophagy, and Inhibits Cancer Cell Growth
著者:Yun-Wei Xue, Hiroaki Itoh, Shingo Dan, Masayuki Inoue
DOI番号:10.1039/D2SC02024F
論文へのリンク

 がんは、2人に1人が罹患する疾患であり、有用な新規抗がん薬の開発は常に求められています。抗がん活性を示す天然物には、優れた性質を示す分子が多く知られている一方で、作用の詳細が不明なことも多く、応用展開を実現するにはメカニズムを明らかにすることが重要です。例えば、土壌細菌が産生する天然物であるグラミシジンAは、強力な抗がん活性を示すことが知られていますが、どのように活性を発現しているかは不明でした。
 本研究グループは、固相合成に基づくグラミシジンAの構造改変体の全合成と機能解析によって、本分子が細胞内のエネルギー産生を司るミトコンドリアに集積し、マイトファジーを誘起することを明らかにしました。さらに、細胞内ATP濃度を低下させることで、がん細胞増殖抑制活性を発現することを示しました。本成果は、イオンチャネルを形成することで知られるグラミシジンAの医薬品資源としての応用可能性をさらに拡大します。

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